月別アーカイブ: 2016年3月

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おいしいものが、布になる。 坂本あこさんのテキスタイル

さて今回は、先週の布博レポートでも少しご紹介した、坂本あこさんの作品をクローズアップします。

坂本あこさんは、第4回コッカプリントテキスタイル賞で準グランプリを受賞。今春、東京造形大学テキスタイル専攻の大学院を修了し、デザイナーとして独立。大好きな食をテーマにした「gochisou」(ごちそう)を立ち上げました。

こちらはその「gochisou」シリーズ。「布博 in 東京 vol.6」での坂本さんのブースです。
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ドーンと垂らされ、誰もが一瞬立ち止まってしまうほどのインパクトを放っているのは、「Bacon epi(ベーコンエピ)」。その左下は「Baquette」(バゲット)。1本ずつ切り離して袋に仕立てたら、おしゃれなバゲット入れに早変わり。そんな楽しみ方もできる布です。

さまざまなパンが描かれた布は、どれも大柄。どの部分を切り取るかでバッグの印象も変わります。
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布博の会場には、お洋服も。パン屋さんのコスチュームにもぴったりですね。
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「食べること」は、ひとが生きていくうえで欠かせない。その大切なことに興味を持つきっかけになれば……というのが、「gochisou」の願い。
「テキスタイルという視点から食べるものを考え、おいしいものを食べたときのように、ひとを幸せにさせるテキスタイルを目指しています」と坂本さん。「ひとを幸せにするテキスタイル」……なんて、素敵なんでしょう!

坂本さんが東京造形大学・大学院の修了制作として手がけたのは「yasou market」。こちらも「食」がテーマです。5種類の野草の柄を配色展開し、計10種類のテキスタイルを提案。天井から吊るして展示されていたのは、そのうちの4つ。左から、Huki(蕗)、Huyuichigo(冬いちご)、Kogomi(こごみ)、Sansyou(山椒)です。
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布はそれぞれ2通りの配色で作られていて、こちらがもうひとつの配色パターンです。
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「yasou market」のテーマは、「旬の山野草を味わい、楽しむ」。
「旬の野草たちをモチーフにテキスタイルに落とし込み、食材の野草が入るようなバケツ型のバッグも合わせて提案しました。これを使うことで、野草や山菜を採りにいくきっかけになったり、旬の山野草を味わう楽しさ、美味しさ、大切さを知って、旬の恵みを食卓で楽しむことが増えるきっかけになるといいなと思っています」(坂本さん)

そのバケツ型バッグがこちらです。
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中央のバッグは「Nemagaritake」(根曲がり竹)。布の展示がなかった、もうひとつのテキスタイルです。「巨大な柄も切り取り方で表情が変わるのが面白いんです」(坂本さん)

こちらは「Huyuichigo」(冬いちご)のバッグ。赤系と青系、2つの配色で仕立てました。
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青のバッグは、生地端の白地をバッグの入れ口に配して、ボトムにいくほど濃い色めに。美しいグラデーションを生かしたデザインです。赤のバッグは、白地を出さない総柄使い。小ぶりなフォルムで、ミニマムな可愛らしさが漂います。

「yasou market」の生地は麻。シルクスクリーンプリントで着色防染です。
「麻と綿では色の出方が違うんです。鮮やかな色に仕上げたくて、麻にこだわりました」(坂本さん)

自然が生み出す美しい色とも調和する「yasou market」の布やバッグたち。
ほどなくやってくる芽吹きの季節に、バッグ片手に散策に出かけてみたくなりますね。

「食」をキーワードに、さまざまなコラボレーションもしていきたいと抱負を語ってくれた坂本さん。
「パンが好き」「食べることが好き」「自然が好き」……。坂本さんの「好き!」がぎゅっと詰まったテキスタイルは、バッグや洋服に仕立てるたびに、幸せをおすそわけしてくれそうです。

坂本あこさんの「gochisou」のHPはこちら。http://www.gochisou-textile.com


【RANKING】2月の販売ランキング

先月に引き続き、1位に輝いたのは、echino 2016コレクションの「den」。2位はnaniIROの定番柄よりPOCHOがランクイン。こちらは2016年の新色、ギフト(パール)です。3位は根強い人気のフレンチブルトッグ柄。コットンのダブルガーゼです。

販売ランキングは、コッカファブリックを扱ってくださる全国のショップ様からの受注数に基づいています。


ピースワークのFUROSHIKI鞄

サイズ:縦約25cm 横(入れ口)約40cm (底)約25cm

布と布をつないで作るパッチワークのバッグです。使った布はアメリカのキルト作家、トーマス・カウアーさんデザインのwanderlust。花柄とはち柄を組み合わせました。ピースワークは大きな四角をつなぐだけなので、パッチワークビギナーさんでも大丈夫。「風呂敷がヒントなので、和服や浴衣のサブバッグにしても素敵です」と作者のあんりこさん。きれいに作るコツは、正確な裁断と丁寧なアイロン。ぜひ挑戦してみてくださいね。

デザイン・製作:あんりこ


使用した布: パッチワーク布A: wanderlust JG50600-601 (C)
パッチワーク布B: wanderlust JG50600-602 (A)
本体裏布・持ち手:wanderlust JG50600-602 (B)


材料:
□生地:(パッチワーク布A)90cm×20cm
    (パッチワーク布B)80cm×20cm
    (本体裏布・持ち手)60cm×50cm
□接着芯:10cm×15cm

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ピースワークのFUROSHIKI鞄について、あんりこさんにいろいろとお尋ねしました。
KF (コッカファブリック:以下、KF) 今回使った布の印象を教えてください。
アメリカのキルト作家さんがロンドン旅行の思い出をモチーフにされた布だと聞き、ロンドン→骨董市→ヴィンテージ的思考をしました。グレイッシュなトーンなので、古布をつないだイメージで考えてみました。

KF:作品についての特徴や工夫した点は?
ピースワークが不慣れでも(私自身もそうですが)、気軽に布合せが楽しめるように、大きな四角をつないで正方形を…風呂敷バッグをヒントに、正方形から立体感を出す形を考えました。

KF:実際に作るときのアドバイスをお願いします。
正確な裁断と丁寧なアイロンで、作業効率も完成度もグッとあがります。

KF:実際にはどんなふうに使うといいのでしょうか?
普段使いはもちろんですが、風呂敷がヒントなだけに、和服や浴衣を着た時のサブバッグとしてお使いいただいても素敵だと思います。

KF:あんりこさん、どうもありがとうございました! ピースワークのFUROSHIKI鞄の作り方プロセスもあんりこさんに撮影していただきましたので、ぜひ、作り方シート(PDF)と合わせて参考にしてくださいね。

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wanderlust(ワンダーラスト)

旅の思い出をテーマに

wanderlustという言葉を聞いたことがありますか? ルーツはドイツ語。wander=さまよう、lust=願望で、「旅への渇望」といったところでしょうか。江戸時代の俳諧師、松尾芭蕉もあの有名な『おくのほそ道』で、「道祖神のまねきにあひて取るもの手につかず……」と語った、旅に出たい!という強い衝動ーそんな感じなのかもしれませんね。
さて、こちらの「wanderlust」、アメリカ人デザイナーのthomas knauer(トーマス・カウアー)さんのシリーズで、旅先は東北・・・ではなくて、イギリス。娘さんと一緒に旅したロンドンでの思い出がテーマです。キルト作家でもあり、モダンキルトの本も出版しているトーマスさん。このwanderlustの柄も、モダンキルト用に色の組み合わせが考えられているので、どの色をとっても色どうしがよく合うようになっています。バッグやクッションなど、簡単なパッチワークでもカッコよく仕上がるので、おすすめですよ。

fluttery JG50600-600 シーチング|綿100%
kokka-fabric.com JG50600-600_1kokka-fabric.com JG50600-600_2

ちょっぴりハードな感じのゆりの紋章柄ですが、その中に蝶を配置することで柔らかな印象を与えます。上品なデザインなので、形のしっかりしたバッグに仕立てたら、お出かけ用にもなりますね。

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布の作り手と使い手が集う場所 布博 in 東京 2016

布の作り手が一堂に会して自ら生地や製品を売るイベント、布博。このコーナーでも2014年の布博をレポートしましたが、今年は規模を大きく拡大。「布博 in 東京 vol.6」では80組を超える出展者が参加して大盛り上がり。布のほか、アクセサリーや刺繡、ニットの出展者も登場し、同時開催としてボタンや靴下もあったり……。まさに、布好き・手芸好きには楽しいことずくめのイベントでした!

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コッカファブリックでおなじみのデザイナーの面々も出展していましたよ。
上の写真でもひときわ目立っていたのでは、Törten(テルテン)のデザイナー、紙野夏紀さんのブース。紙野さんは第3回コッカプリントテキスタイル『inspiration』の大賞を受賞し、2015年2月、期待のニューブランドTörten(テルテン)としてデビューを飾りました。ちぎり絵を取り入れた制作スタイルで、独特の世界観を表現し、登場して以来、大人気に。この布博でその第2弾が披露されていました。

CINEMAというタイトルがつけられたこの布は、一幅の絵画のような美しい景色が広がっています。
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布いっぱいにストーリーを繰り広げるのがテキスタイルデザインの醍醐味であるならば、それを切り取って独自の世界が作れるのが製品の面白さです。同じ布でも切り取り方でこんなに印象が異なるクラッチポーチができるのですね。
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そして、こちらは古家悦子さんデザインのechino。やっぱり人気なのはカットクロスです。
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伊藤尚美さんのnaniIROのブースは、常に黒山の人だかり……。写真撮影もままなりませんでしたが、お客様の間をぬってようやく1カットゲット。こちらは大判ガーゼハンカチです。
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伊藤尚美さんの新刊『詩を描く』も販売。なんと布博限定で、カットクロスつきです!
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こちらは木下桃子さんデザインの「FABRIC CARAVAN BY YURTAO」です。
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あら、どこか見覚えのあるこのパンの布は……?
第4回コッカプリントテキスタイル賞で準グランプリを受賞した坂本あこさんではありませんか!
今年、東京造形大学テキスタイル専攻の大学院を修了する坂本さん、卒業後はデザイナーとして独立して活動するそうで、自身が大好きな食にちなみ「gochisou」(ごちそう)というブランドを立ち上げました。布博では布のほか、バッグやエプロンなどの製品も発表。斬新でユニーク、だけどどこか愛らしい……。坂本さんの明るい人柄が伝わってくるほのぼのとした空間でした。
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3/10(木)〜14(月)まで、東京・表参道の「スパイラルガーデン」で、東京造形大学テキスタイル専攻の有志卒業・修了制作展2016[TEQUILA]が開催中です。学部生、大学院生の力の入った作品が勢揃い。スパイラルガーデンの高い天井から布が飾られている様子は圧巻です。
写真は、坂本さんの卒業制作「yaso market」。
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次回のこのコーナーでは、坂本あこさんの作品を引き続きお届けしますので、お楽しみに!