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ダブルガーゼのかもめ柄から生まれたフロシキ

「この布が欲しいのですが、購入できないでしょうか?」

コッカファブリックには、たびたびそんなお問い合わせが寄せられます。
お客様にとっては、新柄も旧柄もありません。気に入ったそのときが「旬」なのですよね。
こちらに在庫がある場合は、私たちの布を取り扱ってくださっているショップさんをご案内するようにしています。

少し前のことです。こんなお問い合わせをいただきました。
「先日大きなかもめモチーフのガーゼを購入し、とても気に入って使っています。今度1反欲しいのですが、先日購入した生地屋さんでは在庫がありませんでした。購入するには、どのような方法がありますか?」

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気に入って使ってくださっている! なんてうれしい言葉なんでしょう!
幸い、その「かもめモチーフのガーゼ」の布はまだ在庫がありました。さっそくショップさんにお願いして、生地を手配させていただきました。

お問い合わせをくださったのは、アリサラ舎の高阪さん。
高阪さんは、職業訓練校にて縫製・デザインを学び、2006年にアリサラ舎を立ち上げました。現在、オーガニックコットン100%のガーゼを使って、ガーゼケットやガーゼタオルを制作し販売しています。

このかもめ柄、どんなところを気に入ってくださったのでしょう?

「和でも洋でもないところ。やさしい雰囲気が特に気に入っています。オーガニックコットンのガーゼケットを包むフロシキに合うものを長い間、ずっと探していました。
今までに何種類か見つけてはいましたが、試作を作ったあと、しばらく経ってなんだかモヤモヤするのです。なんか、違うな、と。そんななか、このかもめ柄のガーゼと出会って、これだ!と思いました。
同じように試作を作ってしばらく経っても思いが揺るがなかったので、このかもめ柄でフロシキを仕立てようと決めました」(アリサラ舎・高阪さん)

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ひとたび制作するとなると、だいたい100mは購入するという高阪さん。
「それなりに支出があり、布の購入には、この揺るぎない思いを持てているかどうかが大事なのです」(高阪さん)

実際の使い心地についてお尋ねすると、
「肌ざわりもいいですし、フロシキとして申し分ないガーゼです。自分用に持って使い続けたいもの。人へのプレゼントにもしたいもの。そんな感じです。試作分を渡したお客さまからも『カジュアルにも、フォーマルにも使える柄のフロシキ』と言ってくださっています」とのこと。感激です!

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「わたし自身が暮らしも持ち物も必要なものだけに絞って生活しているなかで、本当に必要なものを見極めています。商品の種類は少ないですが、ガーゼが好きな方、やわらかいのが好きな方、シンプルに暮らしたい方に合うものがアリサラ舎にはあります」(高阪さん)

1通のお問い合わせから、私たちが作った布のゆくえを知り、そこに流れる愛情いっぱいの思いに触れることができて、こちらまであったか〜い気持ちになりました。

1枚の布は、できあがったときはまだ赤ちゃんで、そこから人の手に渡り、育てられ、だんだん「そのうちの子」になっていきます。布はもちろんある程度は量産されていて、1点ものではないけれど、その出会いは、一期一会。
素敵な出会いがありますように・・・と、娘を嫁に出すお母さんの心境で(!)、日々、生み出す布たちを、みなさんにご紹介していきたいなと思います。

アリサラ舎さんが気にいってくださったかもめモチーフの布は、Textile storyのコーナーで、2015年の9月にご紹介したものです。
//kokka-fabric.com/wp-kokka/textile-story/trefle_cucito/

アリサラ舎さん: http://www.arisara-sha.com