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手作りのがまぐち。つなぎ合わせた布の向こう側

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先週、溶けるような暑さのなか、東京・国立の匙やさんで行われた宮本佳緒里さんの作品展に足を運びました。

草木染めや手織…。
宮本さんが大切に集めた布たちをつなぎ合わせたがまぐちは、ひとつとして同じものがありません。

会場には、形も色もさまざまながまぐちが、それはそれはたくさん並んでいたのですが、そのなかで心奪われてしまったのが、写真のがまぐちです。

緑色の……と、さらりと表現してしまうのがはばかられるような、深みのある、美しい色のグラデーション。思わず、これは群青色、そっちは萌葱(もえぎ)色なんて呼びたくなってしまいます。

「田舎暮らしをするようになってから、目に入るものは畑や森ばかりなので、作品も気がついたら、そんな色めが多くなってしまって…」。
作品展初日に会場にいらした宮本さんは、ちょっと照れくさそうにお話してくださいました。

大阪でショップを営んでいた宮本さんが、店をたたんで山のなかで暮らし始めたのは数年前のこと。以来、ずっとやりたかった畑仕事や創作活動にいそしんでいるそう。

つなぎ合わさった布から、作り手の暮らしの断片がほんの少し見えてくると、作品に対していっそう愛着がわいてきます。

布に出会い、それを集めて、作品に仕立てる―。
そのときどきの”一期一会”を作品に織りこんでいく瞬間は、作家活動を生業にしていなくても、ワクワクするものです。

宮本さんが、自然と親しむその暮らしを背景に、作品の布を選んでいったように、
自身の生活や生き方が、作品に現れてしまうのは、自分の分身のようで面白くもあり、ちょっぴり恐くもあります。

そんなふうに考えると、月並みですが、毎日の暮らしを丁寧に重ねていくことはとても大切なのですね。


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