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古家悦子さん(echino テキスタイルデザイナー)

「色を描く」ことから広がる可能性を追い求めて

2015年に10周年を迎えたechino fabric collection。古家さんは、そのechinoの生みの親。2003年に「echino」を立ち上げ、オリジナルデザインをスタート。2006年、コッカよりechinoファブリックコレクションがデビューし、「布」という舞台でその世界観を表現してきました。

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(コッカファブリックドットコム 以下、KF)古家さんがデザインを考えるときに大切にしていることはなんでしょう?

インテリアのテキスタイルデザインスタジオで仕事をしていたこともあり、テキスタイルを使ってどれだけ心地よく暮らせるか、ということを常に考えています。日常的にテキスタイルがあるような空間、絵を飾るようにシンプルに生地を空間に飾れたらいいなと。その思いは、コレクションを始めた当初からずっと変わっていませんが、最近はより強くなったと感じています。

(KF) echinoの生地に比較的大柄が多いのも「空間」を意識しているからでしょうか?

そうですね。空間のなかの一枚絵のような存在でありたいので、柄や色の面積を大きくとっているテキスタイルが多いです。ストーリー性も感じさせたいので、パターンというよりも絵のような感覚でデザインしています。デビュー当時から「もっと小柄も作ってください」というご要望をいただいているので、何かモチーフが使いやすく入っているような、マーク的な感覚で切り取って楽しめるテキスタイルもつくっています。大柄にしても小柄にしても、空間を意識しているので、柄は常に一定方向を向いているのがechinoの特徴です。

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(KF)使いやすいモチーフといえば、鹿や鳥は、いわばechinoのアイコン的存在ですね。

鹿は角(ツノ)の形が好きなのと、デザイン的にカッコいいので、デビュー当初から描き続けています。モチーフのアイテムはあまり変わっていませんが、描き方が少しずつリアルになり、可愛さが薄れてきました。

(KF)たしかに。10th anniversary のパネル柄のなかに顔をのぞかせる鳥は、どこかあどけなく、愛らしい表情ですが、2015コレクションのparakeetの鳥(インコ)は大人びています。「可愛らしい」というファンシーな部分がそげおちて、リアルな「鳥」に成長した、そんな印象を受けますね。

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(KF)’echinoカラー’といわれるように、鮮やかな色彩もechinoブランドの大きな特徴になっています。こちらはどんなふうに変化してきましたか?

コレクションを始めて数年経った頃、黒をアクセントに使うようになりました。このあたりからテキスタイルの印象が少し変わったと思います。それまで、echino=カラフル、反対色、ちょっとクセがある、といったイメージで考えていたので、黒を加えるとほかの色が負けてしまうのではないかと懸念していたんです。でも実際には、黒一色で同じ柄でもネガとポジくらいイメージが変わりました。2015コレクションのzonでは、思い切って黒を背景に使った配色パターンもデザインしました。

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(KF)最近は布だけでなく、ファッション小物やインテリグッズなど、echinoコレクションを使った製品も多く発売されています。こちらも大変好評のようですね。

製品になったときにインパクトがあって、使っても楽しいもの。どこかにechinoらしさが残るもの、小さくても「これ、echinoだよね」ってわかるもの……そんな製品を目指しています。テキスタイルからデザインされるプロダクト(製品)があってもいいじゃないかって思いながら。

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(KF)今年4月には、『echinoの布で作るバッグと小物』(文化出版局)という本も発売されました。こちらには、バッグやポーチといった人気アイテムから、エプロン、スカートワンピースなどの洋服まで、全部で26作品の作り方が掲載されています。すべて作り方、型紙つきですから、echinoファンにとっては、うれしい一冊ですね。

様々な時間やシーンで楽しめる、心踊るモノたちへ出会える本になりました。どの作品にもechinoの柄や色の特徴が生かされています。どの柄? どの色? どの布にする? と、1ページごとに選択が無限に広がる本です。
10周年を迎えた今、多くの人々の日々の暮らしや時間の中に、echinoのテキスタイルが少しでも心躍る存在として愛されていることに、テキスタイルデザイナーとして幸せに思います。これからもテキスタイルの可能性を探しながら、「ずっと描いていきたい」という想いです。

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(KF)どうもありがとうございました。


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