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Visit artist file 025 kari Ishikawaさん(ファイバーアーティスト)

「作家インタビュー」は、コッカの布を一緒に作るアーティストやデザイナーの取材記事です。

第25回は、愛らしいアニマルヘッド「yarn animals」が多くの人を魅了するファイバーアーティストのKari Ishikawaさんが登場。ファイバーアートの作品づくりや2026年にデビューするテキスタイルコレクションについてお話を伺いました。

ファイバーアートの作品づくり

コッカファブリック(以下KF):Kariさんは、2018年からファイバーアートの作品づくりに専念されています。毛糸をミシンで縫い合わせるという独自の技法はどのように生まれたのですか?

専門高校で服飾を学んでいたときに、リボンをミシンで縫い合わせてレースを作るという技法を学んだのですが、それをヒントにリボンは使わず毛糸を用いて密度も上げて細かく縫い合わせ、はっきりとした形を形成する自己流の表現が生まれました。

KF:毛糸を編まずに縫い合わせるというのが新鮮ですね。毛糸のどんな点に惹かれたのですか?

やはり温かみが一番の魅力です。特に動物の作品を作ることが多いので生き物の温もりを表現するのにぴったりだと感じています。

KF:ファイバーアートの作品を作るうえで、心がけているのはどんなことでしょう?

糸だからこそできる表現を大切にしており、柔らかさはあっても滑らかではなく、プリミティブな印象になることを心がけています。

動物たちの表情は可愛いだけではなく、強さや神聖さなどの魅力を引き出せるようにしています。

KF: プリミティブな印象、わかります! 作品展におじゃましてkariさんの作品を見たとき、その動物の持ち味というか、素性みたいなところが伝わってきました。

アニマルヘッド「yarn animals」

KF:アニマルシリーズはどのように生まれたのですか?

アニマルシリーズを作り始めたのは、山形に暮らし始めて1年が経とうとしていた頃。自宅用に飾りたいものを作ろうと考えたときに鹿の剥製(ハンティングトロフィー)のようなイメージが頭に浮かびました。試しに作ってみたものがとても気に入って周りからの反応もよくて・・・。もともと子どもの頃から動物が好きだったのもあり、ほかの動物もいろいろと作るようになりました。

KF:動物園などにもよく行かれるそうですね。

実家のある横須賀に住んでいた頃は横浜の野毛山動物園が無料ですしニワトリやハツカネズミと触れ合えるので何度か足を運んでいました。

yarn animalsを作るようになってからは、より意識して動物園や牧場に行って実際に動物たちを見たり触れ合ったりするようにしています。昨年は那須のワールドモンキーパークに行ったり、神戸どうぶつ王国など遠方の動物園にも行きました。

昔と比べると動物を見る時間もすごく長くなりましたし、生態についての説明なども併せて写真に残しておいたりしています。さまざまな動物を見ながら「次はこの動物作りたいなぁ」などと創作意欲も刺激されます。

山形では野生の動物に出くわすことも多いので山道ではカモシカがいないかつい探してしまいます。今の時期はシベリアからハクチョウがやってくるので湖に会いに行くのが恒例になっています。

KF:現在、kariさんは3匹の猫とともに暮らしているそうですね。Kariさんの作品づくりにおいて、猫はどんな存在なのでしょう?

猫たちと暮らし始めて6年。私にとって、なくてはならない存在になっていて日々癒しを与えてもらっています。

制作に息詰まったときや忙しいときにも猫を見るだけで、一瞬で穏やかに気持ちに戻してくれています。本当に不思議な力を持つ生き物です。

KF:保護猫の活動もしていらっしゃるとか。

我が家の姉妹猫(ジジとキキ)を保護猫活動をしている方から譲渡していただいたことをきっかけに、保護猫活動について調べるようになりました。雪国で暮らす過酷さや、車社会なのでロードキルに遭遇することも多く、猫と暮らしている身からすると全く他人事に思えなくなり、夫と協力しながらアトリエの敷地内に現れた野良猫たちの避妊去勢手術をしたり里親さんを探したりしています。

現在、自宅で保護している里親探し中のムタは元々はシャーシャー猫で触れることも難しく捕獲機にもなかなか入ってくれず苦戦していましたが、長い時間をかけて距離を縮めてやっと家の中で暮らせるようになりました。今ではすっかり懐っこくなりとても甘えん坊です。

全国各地での作品展

KF: kariさんは全国各地で作品展を開催されています。さまざまな土地での作品展の楽しみや醍醐味はなんでしょう?

これまでSNS越しで作品をご覧いただいていた方々に実際に作品を間近で見ていただけることがとても嬉しいです。写真ではわからない質感を実際に感じていただける機会を大切にしています。

KF:開催地や時期によって展示作品も変わるのですか?

昨年は北海道でも個展を開催したのですが、その時はシカ、キツネ、クマ、ウサギ、ハクチョウなどその土地に馴染みある動物をメインに展示したり、猫雑貨を扱っているショップにはネコはもちろん、ライオン、トラ、マヌルネコ、サーバルキャットなどのネコ科の動物を多く展示しています。

時期に関して言うと、ツバメは毎年春にだけ制作しています。今回発表したin the seaの海の生き物は昨年の名古屋の個展が真夏の開催だったので、毛糸でも涼しげに感じてもらえるように制作しました。

KF: 印象に残っているエピソードはありますか?

作品展ではないですが、4年程前に「岩合光昭の世界ネコ歩き」に出演させて頂いたのですが、その放送を見た大学生の女の子が遠方からわざわざ一人で山形の山の中腹にある私のアトリエを尋ねに来てくれました。アトリエの周りには最寄駅もなくバス停も山の麓にあるので長い距離を歩かなくてはならず、夏の暑い日にそんなところまで一人でアトリエを目指して歩いてきてくれたことに本当に驚きました。(流石に帰りは街中まで車でお送りしました)
そして、その女の子が昨年の京都の展示にお婆様と一緒に来てくれたという話をギャラリーのオーナーさんからお聞きし、それは本当に嬉しい出来事でした。

KF:一人で山形のアトリエまで! その後も京都の展示に足を運んでくださったなんて。

コッカでのテキスタイルづくり

KF: 2026年に「KARI ISHIKAWA」のファブリックコレクションが発売になります。「テキスタイルをつくる」というお仕事を初めて聞いたとき、どんなふうに思いましたか?

専門高校時代にはテキスタイルの授業を専攻していて、そのときもテキスタイルの授業が一番好きでした。卒業後も自分で柄を考えてオリジナルテキスタイルをシルクスクリーンで刷って色々と制作していたので、それから何年も経った今、自分の作品が布になるということはとても嬉しいことでした。

私がファイバーアートを作るきっかけになった学生時代のテキスタイルの先生方への恩返しにもなるし、同世代の友人たちは子育て真っ只中だったりするのでお子さんの通園バッグなど作ってくれたらいいなと思いました。

KF: わぁ、高校時代からテキスタイルに興味があったなんて嬉しいです。ご友人の方々にはぜひKariさんの布でお子さんの通園バッグを作っていただきたいですね。テキスタイルづくりで面白かったのはどんなことですか?

コッカさんにご提案いただいたランダムの配置と整列の配置、背景の色の選択で全くイメージが変わるのが面白かったです。

KF: でき上がった生地を初めてご覧になったときの印象をお聞かせください。

布になったときに一番不安視していたのが絵のように見えてしまうことでそれは避けたいなと思っていたので、実際に上がってきた生地が結構大柄で毛糸の感じやミシンの縫い目までしっかりとわかるようなサイズになっていたのでとても安心しました。

私自身インテリアが大好きなのでクッションカバーやカーテンなどにも向いていそうでワクワクしました。
KF:子ども部屋のインテリアにも使っていただきたいですよね!

Kari Ishikawaの4つの柄

KF: ファブリックコレクションは、【we are cats】【in the sea】【hopping】【totems】の4柄がデビューします。各柄への想いやこだわりポイントをお聞かせください。

【we are cats】
テキスタイルの元になった作品。

可愛くなりがちな猫グッズですが、少し大人っぽい落ち着いた色味の背景にすることで可愛いよりもオシャレな印象になるようにしました。

 

【in the sea】
テキスタイルの元になった作品。

私の作品の中では珍しい海の生き物。海の中の浮遊感を感じるランダムの配置になっています。

【hopping】
テキスタイルの元になった作品。

ぴょんと跳ねるウサギたちの中にキツネとトナカイも混ざっていて遊び心も感じる楽しいデザインです。

【totems】
テキスタイルの元になった作品。

Totemとは守護者として信仰する動植物を指す言葉です。エスニックで個性あふれるほかにはないテキスタイルになっています。

今後やってみたいこと

KF: 今後やってみたいことをお聞かせください。

ファイバーアートの絵本を作ってみたいです。

中学生くらいの頃に清川あさみさんの刺繍の「人魚姫」の絵本に出会って、絵じゃない絵本にすごく衝撃を受けて、胸がときめきいたのを鮮明に覚えています。

いつか自分が絵本を作るなら毛糸の質感ならではのほっこり心温まるような絵本ができたらいいなと思っています。
ただ肝心な物語を考えるのが難しくて何年も夢のままで止まっているので、向き合える時期が来たらじっくり考えたいです。

KF:kariさんの動物たちが登場する絵本、読んでみたいです! 最後に、コッカファブリックをご覧になっているみなさまへのメッセージをお願いします!

この度コッカファブリックさまからお話をいただき、KARI ISHIKAWAのオリジナルファブリックのリリースが叶いました。
普段は一点物の作品を制作しているので、テキスタイルとして量産されることに少し不安な気持ちもありましたが、それ以上にたくさんの方の手に取っていただくことが可能になる嬉しさが上回りました。
布だけど毛糸の温もりを感じる、これまでにない個性あふれるファブリックに仕上がりました。
ユニークで愛らしい動物たちの作品がたくさんプリントされたテキスタイルで、老若男女問わず自由にお好きなものを作って楽しんでいただけたら嬉しいです。
一体どんなものを作っていただけるのか、とっても楽しみにしております。

KF:ありがとうございました!

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