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「スタッフコラム」では、コッカファブリックの運営スタッフがキャッチした気になるモノ・コト・スタイルをお届けしています。第8回目は、「布の街」として知られる「日暮里繊維街」のルポです。道案内をお願いしたのは、ハンドメイド作家の田巻由衣さん。お気に入りショップの見つけ方や生地選びのコツなど、日暮里繊維街の歩き方を教えていただきました。
日暮里繊維街ってどんなところ?
日暮里繊維街があるのは、東京・荒川区。日暮里駅から日暮里中央通りを中心に、両側約1キロにわたり生地織物の店が軒を連ねています。その数、約80店舗!この繊維街ができたのは大正時代の初め。工場で不要になった繊維を扱う業者が日暮里や三河島周辺に集まってきたのが始まりといわれています。大正から昭和の終わり頃までは問屋街として卸売りをする店ばかりでしたが、時代の変化と共に小売りする店が増えていったそう。
ハンドメイド作家の田巻由衣さんが、日暮里繊維街を知ったのは今から15年くらい前のこと。
「今ほどネットやSNSの情報がなく、手芸雑誌の特集で知りました。ハンドメイド作家として作品の販売を始めてすぐくらいだったと思います。たくさん買おうと思って、日曜日に夫に頼んで車で来たら、ほとんどのお店がお休みでした。でも、道沿いに「日暮里繊維街」の看板があったのに感動しました」
この繊維街は、卸売から始まったので、今でも土日がお休みというお店が多いのが特徴。土日休みは抑えておきたいポイントですよね。
「当時はナチュラル・カントリーや森ガールが流行っていた頃。私も雑貨屋さんで販売するリネンのオーダーカーテンを制作していたので、麻生地を丸反で買っていたりしました」
その後は、年に一回くらいのペースで訪れているという田巻さん。
「あまり目的をもたずに、ふらっと訪ねることが多いです。インスピレーションを見つけに、という感じでしょうか。ネットにはない、ここでしか出会えないものがありますので」
バッグ用パーツは「革のAnd Leather」が御用達
バッグや小物のパーツとして革や合皮を使うことが多い田巻さんのお気に入りショップは「革のAnd Leather」。繊維街には2店舗あり、日暮里駅からほど近い「日暮里中央店」は、金具や革ひもなどのパーツ類が豊富。入り口の鹿が目印です。



ファスナーもいろんなサイズが揃っています。金具類も種類が豊富です。

ナスカンもゴールド、ブラック、アンティークと色味も充実。サイズもデザインも豊富です。

日暮里中央通りをぐんぐん進むと、もう1つの店舗、「日暮里店」があります。こちらは大小の革ハギレが中心。店先にも革のハギレがずらり。


店内に入ると大小の革のハギレに囲まれます。豹柄も!


生地の専門店「トマト」はなんでも揃う
日暮里繊維街に5店舗を構える「トマト」は日暮里繊維街の顔。1階から5階まで生地を扱う本館、お買い得生地が揃うアーチ館、副資材が揃うノーション館、パッチワーク用の生地を扱うピースワーク館、インテリア用の生地を扱うインテリア館と、「トマト」めぐりだけでも丸々一日かかりそうなボリュームです。
コッカの生地を置いてくれているのは、ピースワーク館。echinoやMUDDY WORKのあんぱん柄がずらりと棚に。わぁ〜嬉しい。ありがとうございます!

田巻さんのお気に入りは、アーチ館。店内奥の階段を降りた半地下のコーナーです。

「ここにはちょっと変わった生地がお値打ちでたくさんあるんです」と田巻さん。隅々までチェックしていると、ここだけであっというまに1時間くらい経ってしまうとか。

合皮もご覧のとおり、こんなにたくさんの種類が!

田巻さんが選び方のコツを教えてくれました。
「合皮の場合は、表側だけでなく、裏側も必ずチェックします。裏側の色味が表側と似ていることがポイント。あと触ってみて厚みも必ず確認します」

せっかくシックな黒い合皮を選んでも、裏側が白っぽかったら、ちらっと見えたときに残念な印象になってしまうのだとか。さすが何作品も作ってきた作家さんの言葉にはリアリティがあります。
「ハギレつめ放題」に夢中!
「革のAnd Leather 日暮里店」の隣り、「JJ DRESS FABRICS」も田巻さんが必ず立ち寄るお店。ドレス用生地を豊富に取り揃えているショップです。
田巻さんのお目当ては「ハギレつめ放題」。店内に入るとすぐ、床にはバサッと積まれたハギレのケースが。この中の布が「つめ放題」。店員さんがビニール袋を渡してくれました。この袋がいっぱいになるまで詰めてOKなのです。さっそくケースの前にしゃがんで、つめ放題スタートです。

ハギレの山をかき分けて、“新顔”を発掘する瞬間の楽しいことといったら! 裁断した残りの切れ端など、へんてこりんな形のハギレも多数。きちんとカットされていない、そのまんまな感じも、「宝探し」気分を盛り上げます。ド派手なハギレを手にした田巻さんは、「こういうの、ちょっとだけ使いたいときのアクセントにいいんですよね」とにっこり。

残念ながら、この「JJ DRESS FABRICS」は、2026年7月25日で閉店。今後はオンラインショップなどで注文ができるそうですが、この店頭ならではの「ハギレつめ放題」ができなくなってしまうのは悲しい!
「ZAK ZAK」で可愛らしいお花モチーフを発見!
「激安生地の宝箱」というキャッチーな看板に吸い寄せられるように入ったお店は「ZAK ZAK」。トイ・ストーリーのキャラクター「バズ・ライトイヤー」がお出迎え。今度来るときも迷わず見つけられそうです。

両脇にぎっしり丸反が並ぶ店内は、「日暮里繊維街」のイメージを象徴するような光景。「どれも激安!!」のポスターが“日暮里感”を後押しします。

さっそく丸反に手が伸びる田巻さん。派手な柄は気になる様子。

レジ横に可愛らしいかぎ針編みのお花モチーフを発見。なんと5個で330円! 聞けばオーナーの手作りだそう。こんなお値打ち品に出会えるのも日暮里繊維街ならでは。

花芯と花びらの配色で印象もさまざま。あれこれ組み合わせながら、田巻さんが選んだのはこちらの5つ。

「HAPPY」の個性派リボンに胸キュン♪
「たしかこの辺りにお店があったような・・」と田巻さん。お目当ては「HAPPY」というリボンやコードを扱うお店。ネットに載っていた住所をたどると、その店は表通りから少し入った住宅街の中に。たしかに看板が出ていたけれど、お店というよりは倉庫のよう・・・。あれぇ?と思っていると、ひょっこりオーナーが現れました。
オーナーはイラン出身のアンジョンさん。田巻さんがこの繊維街に通い始めた頃からのなじみのお店です。
聞けば、現在は、表通りのお店の一角を“間借り”して販売しているそう。「11時半から表通りに出すからね」と言われ、あとで立ち寄ることに。
表通りに華やかなリボンが見えてきました。ここが「HAPPY」のコーナーです。色とりどりのリボンは、アンジョンさんの手作りだそう。ほかでは見かけない個性的なデザインが、田巻さんのハートをわしづかみ。



「掘り出し物探し」と「買い付け気分」が味わえる
日暮里中央通りを端から端まで、田巻さんと歩いた「日暮里繊維街」。ネットショップや街の生地屋さんにはない、この繊維街ならではの魅力は何だろう。日暮里駅に戻る道すがら田巻さんに尋ねました。
「安さはもちろん、整頓されていない、掘り出し物を探す楽しみがあります。『ハギレつめ放題』はその例ですよね。最新のものがあるかどうかはわからないけれど、可愛いもの探しができる。どうしてもこういう色が欲しい、とか、近所の手芸ショップや生地屋さんで見つからないときは、『日暮里まで行こう』ってなります。きっと掘り出し物があるはずって」
新しいものがあるわけではないのに、一日中いられる。その秘密は、雑多に見える宝の山に分け入って、自分の感性に響いたものを見つけ出す、そんな醍醐味なのでしょうか。
「それと・・」と田巻さんは言葉をつなぎます。
「日暮里繊維街に来ると、プロになった感じがします。買い付けに来ている気分。『日暮里に行くよ』は、仕事なんだと。趣味を超えた感じなんです」
ハンドメイド作家として歩み始めた頃に、初めて足を踏み入れた日暮里繊維街。今でこそ、どの店も小売をしてくれますが、かつて卸売専門だったプロっぽい雰囲気がうっすらと漂っているのかもしれません。必要以上に媚びないし、接客もしない。売り手と買い手の関係はあくまでもクール。自分の目利きでどんなお宝でも発掘できる。それはまるで、布や素材を見る目を鍛えてくれる道場のよう。ハンドメイド作家や布好き、ファッション好きを惹きつけてやまない「布の道」が、日暮里繊維街なのですね。

日暮里繊維街
日暮里駅から日暮里中央通りを中心に現在、約80店舗(約60社)が加盟。デザイナー・アパレルメーカー・作家・学生など、あらゆるものづくりに携わる人々が訪れる。公式竿とには店舗一覧があり、繊維街マップもダウンロードできる。
https://www.nippori-senigai.com/



