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ロシア刺繍のティーコゼー

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とうとう11月になってしまいましたね。街のディスプレイは一気にクリスマスに。それにまぎれて「11月1日は紅茶の日」というポップが目にとまりました。

どんどん日も短くなって、寒い夜にはあったかーい紅茶が飲みたいわよね。ということで、「紅茶の日」は11月になったのかしら・・? 日本紅茶協会のサイトによると、この「紅茶の日」は、1983年に日本紅茶協会により定められたそう。その由来は、1791年(寛政3年)の11月1日に、伊勢の国(現・三重県)出身の船頭・大黒屋光太夫という人物が、ロシアの女帝・エカテリーナ2世のお茶会に招かれ、日本人として初めて本格的な紅茶を飲んだ、という逸話からきているのだそう。

そうなんですね。「ロシア皇帝のお茶会」・・・。
というわけで、今週は、ロシアつながりの作品をご紹介。写真のティーコゼーは、1950年代にロシアで出版された、小中学生向けの刺繍図案に載っていた図案をもとに、刺繍愛好家の方が作ったものです。もとの図案は、絵画のような彩色図案。針葉樹にとまった小鳥さんは、サテンステッチやロングアンドショートステッチを駆使して、多色使いで仕上げています。

ロシア刺繍といえば、赤い糸で刺したアルハンゲリスク地方の赤い刺繍がよく知られていますが、この小鳥さんのように、自然をモチーフにした図案もたくさんあるようです。クローバーやタンポポ、ヒナゲシ、カモミールなど、夏の野原を彩る草花も、よく図案に登場するそう。長く寒い冬を過ごさなければならないロシアでは、つかのまの夏の美しさを心にとどめるかのように、クラフトの世界でも自然モチーフが愛されていたのですね。

「紅茶の日」にちなんで、ママレードをたっぷり入れたロシアンティーをお供に、晩秋の手作りタイムを愉しんでみませんか?