「コッカファブリックのオリジナル生地を作ろうプロジェクト」第3回目 柄デザインの決定

4名のクリエイターさんたちとスタートした「コッカファブリックのオリジナル生地を作ろう!」という新プロジェクト。7月下旬に第3回目のミーティングが行われました。

プロジェクトメンバーは、コッカファブリックの人気コーナー「craft & sewing」で、コッカの布で作品を作ってくれている4名。杉野未央子さん、猪俣友紀さん、田巻由衣さん、武井聡美さんです。

第3回目は、2回目のミーティングで出た意見を元に、コッカが作成したデザイン案を検討してもらうことに。デザイン案は「ドット」「ストライプ」「小柄(葉っぱ柄)」の3案。ミーティングに先立ち、クリエイターさんたちにはデザイン案を郵送し、先に目を通してもらったうえでの意見交換です。ドット柄のデザイン案は、布幅と同じ原寸大。実際の布と同じ大きさで見ると、ぐっと現実味を帯びてきます。

ドットの大きさで作りたいもののイメージが変わる
コッカファブリック(以下、KF):最初にドット柄から検討していきたいと思います。みなさん、率直なご意見をお聞かせください。

田巻由衣さん(以下、敬称略):オーソドックスな雰囲気なので、一般的で誰でも使えるという感じがしました。正直、もう少し真新しさが欲しいです。たとえば、あんまり使われていないようなショッキングピンクなど、派手な色も入れるとか。

KF:そうですね。配色は後からいろいろ考えていきましょう。柄はどうでしょうか?

猪俣友紀さん(以下、敬称略):この布で何を作るか、もう一度確認したいですね。作るものによってイメージも変わってくるので。

KF:バッグの表布はみなさんそれぞれ趣味・趣向があるので、今回は、バッグの内布にも使えるような布を作っていきましょうかという話をしていました。もし、バッグの表布にも使える布に、という視点で見てみると、どうでしょう?

田巻:この柄を見ていたら、(制作イメージが)バッグというより、洋服になっちゃったんですよね。このまま大きいバッグで使うとしたら、巾着とかエコバッグかなって。がっちりしたカバンを作ろうと思ったら、柄が少し小さい気がします。手芸をする人には絶対使いやすいだろうとは思いますが。

杉野未央子さん(以下、敬称略):どこにでもあるよ、って思われたらいけないので、変えていきたいですね。せっかく作るのですし。

猪俣:ドットとドットの間がもう少しあいていると、もっと大人っぽい水玉に変わるのかな。柄をもう少し大きくしたほうがいいのかもしれません。(MUDDY WORKSの)「あんぱん柄」やマリメッコなど、柄が大きくても可愛いって思える布ってありますよね。そういう生地が作れたらって思います。心が動かされるような。

1枚の布に大きさ違いの柄が入っていると使いやすい
KF:生地が途中でセパレートされている感じはどうですか?

猪俣:違う要素が入っているのはいいと思います。

KF:今のデザイン案は、中くらいの柄と小さめの柄という組み合わせですが、これにもう1つ大きい柄を加えて、大中小という組み合わせもありかもしれないですね。

猪俣:私は今、大きい柄がいいと思っているけれど、「この柄、小さかったらよかったのに」と思う人もきっといるので。1枚の生地の中にいろんな大きさがあるのは面白いかもしれないですね。バッグを作っても1枚で切り分けることができる。1枚で想像が広がるような。

田巻:バッグにするなら、もう1個大きい柄があってもいいかも。こっちの柄ではポーチ、こっちではバッグみたいに。

KF:布幅の1/3くらいずつで切り替えみたいな感じになっているとか?

全員:それなら使い切れる!1枚でお得な感じ。

武井聡美さん(以下、敬称略):柄の分量の配分は、自由に変えられるんですか?

KF:変えられます。

武井:ぱっと見たときに水玉の分量が多いので、ほんとに可愛いっていうイメージがありました。たとえば、その分量を半分にして、大中小みたいに1/3ずつというのが可能だったら、それはありかもしれません。ミニチュアを作るときにも、リアルクローズとミニチュア用、自分が着て、ドールが持っているみたいなのが、今、すごく流行っているんです。だから、小さい柄もありがたいなって。小さな柄があったら、もっと小さなものも作れる。
あと、(今のデザイン案の)地の色が白なので、真っ黒というのがあってもいいかなって。黒に柄を乗せるとスタイリッシュな感じになるので。

杉野:黒にブルーとグレーがちょっと重なったような生地とかは可愛くて、生徒さんからも人気がありました。

KF:お見せしたデザイン案はすべて白地でメリハリがちょっとないのですが、柄の切り替えによって地色をつけたりすることもできます。

武井:白地だとすごく爽やかで、入園入学用という感じがしますね。洋服にするときは、汚れが目立たない黒とかネイビーとかを使うことが多いです。

猪俣:ネイビーはほんとに人気ですよね。

武井:でも黒地とかネイビーとかって、年齢がいくと見えにくく、縫いづらいといって避けられちゃう。グレーのほうがまだ見えるかな。チャコールとか、薄いグレーとか。黒地は、ステッチの色を白にしたり、光沢のあるグレーのミシン糸にしたりするとカッコいいんですけどね。

田巻:みなさん、作品を作るときって、ここから(と柄の切り替えを指して)だと、糸を替えますか?

杉野:糸替え問題ですね。

猪俣:ものにもよりますね。

武井:私は逆に替えちゃう。ミニチュアは糸が大事。

田巻:お教室で使う場合は、糸替えなんか絶対に入れたくない。

全員:そうそう。

杉野:下糸のボビンまであるし。

武井:柄の切り替えがある場合でも、生地の配色はある程度統一されているほうが、糸も選びやすいということですね。

KF:さすが、クリエイターのみなさん、着眼点が違いますね。柄の配分は、大きいドットを加えて、分量的には1/3ずつにするか、柄によって分量を変えてもいいかなと思います。大きな柄は分量を少し多めにしてもいいかもしれませんね。

猪俣: 1/3だったら1柄35cmは入りますよね。だいたいバッグの幅なので。だいたいキットにするときは110cm幅の35cm。

全員:へえ〜。そうなんだ。

モチーフは丸だけじゃないほうが面白い?

田巻:デザイン案だと小さなドッドが密集しているのですが、もうちょっと余白があるといいですね。余白がないと幼い感じがします。

武井:大きめの丸の中にも何か描いてあったら、そこだけでも使えそうな。

猪俣:北欧でもそういう柄が流行っていますよね。3つの柄の境界線はくっきり分かれる感じですか?

KF:境界線は柄どうしがちょっと入り組むような感じになるかと思います。

全員:なるほど。パキッとわかれちゃうよりはいいですね。

武井:四角いモチーフとかも多いですよね。四角の連続に丸が入っているような。

田巻:私は三角でもいいな。まる・さんかく・しかく。尖っている方が好き。

武井:たしかに。三角って意外とないかも。

田巻:三角も並んでなければ、使いやすい。ランダムだったら。

武井:切りやすいさとか使いやすさでいったら、丸よりも三角のほうが難しいけれど、ランダムに並んでいたら大丈夫かな。

杉野:三角は三角だけでも可愛い。線だけの三角と、中を塗りつぶした三角とか。

KF:まる・さんかく・しかくのほうが、バランス的にはいい気がしますね。

田巻:丸の柄の雰囲気に合わせる感じで、三角も入ったらいいですね!

ストライプ柄は希望の配色にワクワク♪
KF:ドット柄だけでもだいぶ盛り上がりましたが、次はストライプ柄の検討に入りたいと思います。

猪俣:ストライプは、ラインがまっすぐのほうがいいな。手描き風だと全体的にぼんやりして見えるかも。

KF:まっすぐなラインをプリントするのは、加工的にちょっと難しいんです。

武井:だからストライプは先染めが多いんですね。

KF:そうなんです。ストライプ系は先染めで作らないとラインがまっすぐにならないんですよね。テンションのかかり具合が生地の真ん中と端では違うんですよ。なので、手描き風のラインのほうが、ゆがみが目立ちにくいんです。

全員:そうなんですね。

武井:このストライプだったら、クッションカバーにしたい。

猪俣:バッグの底にも使えそうですね。エコバッグにも似合いそう。

武井:ワンピースでも可愛い。

KF:ストライプ柄の生地の種類は、オックスフォードかモーリークロスを考えています。モーリークロスはバッグにも向いていますし、スカートにするときも、モーリークロスだと1枚で透けないので使いやすいかと。
配色については、柄を修正したら、希望の色でお出しします。ビビッドな色もできます。田巻さんカラーみたいな感じでできると思います。

全員:それって面白そう!

KF:ストライプに関しては、みなさん1色選んでいただいて。田巻さんカラー、猪俣さんカラーみたいな感じで決めていってもいいのかもしれません。

杉野:私はこれ。(とデザイン案を見ながら)ブルーと赤ってわりとあるけど、赤がサーモンピンクみたいだったらいいな。

武井:地の色を(白でなく)茶色っぽくもできますか?

KF:できます。

武井:複数の配色を展開するときは、地の色は統一していたほうがいいのですか?

KF:統一していただかなくても大丈夫なんですけど、地の色が薄い、モチーフの色のほうが濃い、といった、色と色との関係性というのは統一していただいたほうがきれいに上がります。生地の場合、1色のラインに見えるところでも、実際は2つの色が入っていたります。同じ色のところが、同じ配色で変わっていく、という感じです。ちょっと難しいんですけど。

武井:「サーモンピンク」っておっしゃっていた部分も、実は1色でなくて、2つの色。

KF:型出しといって、染工場に出すと、また変わってくるんです。工場さんがこの表現を出すために、どれだけの型数でやっていくか。

全員:すごいですねー。

KF:塗りつぶしの色だと、1色だけの場合が多いですが、ぼかしみたいな部分は何色も型を作ります。こちらが考えている色が、染工場から見ると、これは2色じゃ無理ですよ、3色要りますよ、となる可能性もあります。

猪俣:型の数が変更になった場合はどうなるんですか?

KF:染工場で調整して型を掘ってくれます。ですので、紙で見ていたものが布になると、イメージが全然違うってこともよくあります。紙の状態でだいたいの色合いを決めていただいたら、今度は布のサンプルを取ります。それをまた見ていただいて、OKとなれば加工に入ります。ここの色が思いのほかちょっと濃い、薄い、というのがあったら、微調整となります。

武井:それでは、サーモンピンクと言っていた色も、今の段階だったら、これに近い色を3色くらい用意しておいたほうがいいということですか?

KF:いえ、希望の色だけで大丈夫です。

武井:配色は何色くらい選べばいいですか?

KF:3色くらいでしょうか。

猪俣:私はやっぱり、ブルーグレイが好き。

杉野:ベージュのラインに、水色の細いラインが入っても可愛いかなと思います。

武井:ベージュのストライプってないですよね、あんまり。

猪俣:こげ茶とかも最近、減っていますよね。以前、いっぱい使っていたんですけど。微妙な感じの色の。

モチーフのディテールにこだわりたい葉っぱ柄
KF:最後のデザイン案は小柄です。どうでしょうか?

全員:可愛い♪

猪俣:柄がまあるい感じなので、線が細いのも欲しいなっていうのが第一印象でした。

杉野:葉っぱたちが密で並んでいる感じが強いのが気になりました。

KF:密集しているのが気になるということですね。このあたりの葉っぱがすべてそうなので、もう少し細くしましょうか。
生地の種類はまだ決めていませんが、流れ的にはオックスとか、モーリークロスという感じかと。でも、小さくて繊細な柄だと、オックスよりはシーチングのほうが合う気もします。この柄はシーチングで行きますかね。

猪俣:ブロードのほうがシワになりにくいですか?

KF:シワになりにくさはそんなに変わらないですね。ブロードのほうがお洋服に向いている、シーチングのほうが巾着やポーチなどにも使いやすい、というのがあります。

杉野:あんまりブロードとかでバッグとかはないですものね。

KF:シーチングにしましょう! 柄はどうしょう? ほかに入れたいモチーフとかありますか?

猪俣:スズランが欲しい。

KF:(生地の柄を指しながら)これがミモザで、これが花っぽいモチーフ。ミモザみたいなところを、スズランっぽくもできます。

武井:具体的にデザインとして見せてもらうと、今まで見えなかったものが見えてきますよね。

猪俣:そうそう。気になり出しちゃう。

岸本:色の希望はどうでしょうか?

田巻:アフリカンな感じがいいです。オレンジと青みたいな。

杉野:いいかも。こういう柄で、その配色は見たことないものね。紫の柄って最近いいのがなかなかないので、紫もあったらいいなと思います。ラベンダーではなくて、強い紫で、きれいなカッコいい色が出せたら。変にロマンチックにならないような。

武井:ストライプで紫とか流行っていますよね、イタリアのヴォーグとか見ると。ここに紫を入れるんだ、みたいな。私は地に色をちょっと入れたいです。そうすればミニチュアにも使いやすいので。グレーっぽい地の色で、実の部分はちょっと黄色っぽくとか。

猪俣:ココア地っていうのも、最近、見かけなくなりましたよね。ブラウン系の地の色もない。ネイビーはよく見るんですけど。

柄と配色は、着々と進行中♪

3つのデザイン案をじっくり検討して第3回目のミーティングは終了。その後、8月上旬にオンラインミーティングにて修正デザイン案を再検討し、柄と配色が着々と決まっていっています。

クリエイターのみなさんの元に届いた修正デザイン案をちらっと公開♪

猪俣さんは、愛用のミシンと一緒に。

田巻さんは原寸大のデザイン案を壁に貼って。手前に見えるのは、田巻さんお気に入りの配色の葉っぱ柄のよう。

全体のイメージを撮影してくれたのは武井さん。修正デザイン案では、さんかくモチーフも入っていますね。

そしてこちらは杉野さん。「可愛い色合わせのピースが並んでいるのを見ているだけでウキウキする」という気持ちのスナップショットだそう。

布の見本ができ上がってくるまであと少し。どんな見本になってくるのか楽しみです。