Visit artist file 020 小川 学さん(ワイヤーアーティスト)

動物ワイヤーアートが布になった

ワイヤーアーティスト、HAyU(ハユ)として活躍している小川 学さん。子どもも大人も楽しめて、飾る人の自由な発想で自由にアレンジができるアート・・・そんなHAyUの世界を表現したテキスタイル「+HAyU Fabric」が生まれたのは2020年1月のこと。2021年、第2弾の発売に合わせて小川さんにお話を伺いました。

コッカファブリック(以下KF):HAyUさんは、ご自宅の新築に合わせてリビングの壁にアートを飾りたいと思い、ワイヤーアートを作り始めたそうですが、そのときに初めて作った作品は何だったのですか?

 ウシ科の巻ツノのビッグホーンです。

▲初めて制作した作品、巻ツノのビッグホーン

KF:最初はなにかを参考に作られたのですか?

 当時子どもが読んでいた学研の動物図鑑です。

KF:その作品をリビングに飾ってみて、どんな印象でした? またご家族の方の反響はいかがでしたか?

 当時2歳の子どもは大喜びで、「ウマ、ウマ」と言っていたのを覚えています。じゃあ、次は馬を作ろうかなと思いました。

KF: ワイヤーアートはどんなふうに作るのですか?

 ワイヤーアート自体は表現の幅は広いんですが、僕の場合、下書きは基本的にしないで、動物でしたら瞳から作ります。瞳の大きさで全体の大きさが決まります。

KF: ワイヤーアーティストとしてのデビューは、2017年の「青参道アートフェア」ですね。こちらに出展したきっかけはなんだったのですか?

 僕の妻が以前 H.P.FRANCEさんに勤めていたので、職場の先輩に僕の作品を見せに行ったのがきっかけです。ちょうどタイミングがよく、出展の依頼をいただきました。


▲作家デビューとなった青参道アートフェア。

KF:「青参道アートフェア」に出展したことで、ご自身の制作や仕事のスタイルがどんなふうに変わりました?

 当時はまだ切花の園芸農家だったので、2、3ヶ月に1体程度しか制作していませんでした。急に2、3ヶ月で30体ほど作ることになり、本業の農業もあり、とても忙しかったです。せっかくの記念だと思って頑張っていました。


▲青参道アートフェアでの制作デモンストレーション。

KF:すごいですね。ご自宅の壁を飾ることから始まったワイヤーアートですが、その後、作家(プロ)として制作を続けていらっしゃる原動力はなんでしょうか?

 作品を飾っていただける人がいるというのが一番の原動力です。また、はじめたばかりの頃に取り上げていただいたのが、インテリアスタイリストの石井佳苗さんと女優の石田ゆり子さん。ご存知の通り、とても素敵なお二人なので、僕も作家としてもっともっと頑張らないと、と言うのがいつもあります。

KF: 作品を作り上げるなかで、インスピレーション(着想)はどんなところから湧いてくるのですか?

 自分の経験や環境や人との繋がりから作るようにしています。僕はアートの勉強や経験も全くありません。でも、美容師の経験や、農家の経験、東京都心での生活、茨城の田園に囲まれた生活などの経験があるので、その道の専門家では経験していない視点からアプローチをしようといつも思っています。

KF:経験されてきたすべてのことが作品づくりに生かされているのですね。小川さんは作品制作の傍ら、さまざまなイベントにも積極的に出展されています。イベント出展の楽しみ、醍醐味はなんでしょう?

 実物を見てもらえることと、人(お客様やイベント関連の方)と会えること、自分でつくれない空間でできることが醍醐味です。


▲2020年12月、CASICAでの展示風景

KF: ワイヤーアートのワークショップもなさっていますが、ワークショップの面白いところはなんでしょうか?

 HAyUのコンセプトに「飾る人が変化できるアート」というのがあります。ワークショップ(現在は休止中)は、お客様に作品をアレンジしてもらう内容になっています。予想外のアレンジがあったりするので嬉しいです。驚きがあり勉強になります。

KF:HAyUさんのサイトには、さまざまな方の「HAyUアートのあるシーン」が紹介されています。みなさんの空間の中でご自身の作品をご覧になり、発見や気づきなどがありましたら、お聞かせください。

 「HAyUを作る」と「HAyUを飾る(空間を作る)」では全く違う要素があります。自分自身、飾ることはまだまだ勉強不足。参考にさせて戴いています。

コッカでのテキスタイル
KF:2020年1月に「+HAyU fabric」として、コッカよりテキスタイルを発売しました。「テキスタイルを作る」というお仕事、初めて聞いたとき、どんなふうに思いましたか?

 生地自体は僕は作れないので、面白い!直ぐやってみたいと思いました。

KF:ワイヤーアートでも、テキスタイルでも、HAyUさんの世界観は変わっていないと思うのですが、制作する側として、テキスタイルづくりで特に意識したのはどんな点ですか?

 HAyU自体はワイヤーアニマルヘッドと言う作風で作っているので、テキスタイルにしたからと言ってあえてデザインや構図を変えないこと。ワイヤーから作ることです。

KF:デザイン画というのではなくて、ワイヤーから作品を作り上げているんですね。テキスタイルづくりで面白かったのは、どんなことですか?

 ワイヤーでは頑張って立体にしているのに、それをわざわざ平面に戻すことで、絵などでは普通描かないような部分があって再発見できて面白かったです。またテキスタイルデザインはテキスタイルならではの構図や配色、生地や糸の素材などとても深い。面白いです。


KF:テキスタイルづくりで苦労したのは、どんな点ですか?

 経験していけばある程度予想がついてくると思いますが、配置や色合わせで全然見え方が違うことと、製品サンプルが実際にでき上がってまた違うことがあります。イメージとのすり合わせがまだまだ難しいです。

KF:でき上がった生地を初めてご覧になったときの印象をお聞かせください。

 初めて作ったときは、勝手がわからず、打ち合わせや直しで時間がかかったこともあり、仕上がった生地を見たときは感動でした。

KF:インスタグラムには、HAyUさんの生地を使った作品がたくさんアップされています。生地の具体的な形をご覧になってどんなふうに思いますか?

 ワイヤー自体は自分の子ども達に作ったものだったので(HAyUは息子2人の頭文字からの造語)、子ども服を作っている方が何人もいて嬉しかったです。また、ネコの生地は飼っている猫ちゃんと一緒にアップされている傾向が多いです。楽しく拝見しています。

KF:2021年の1月に発売される第2弾について教えてください。また、第1弾との違いはどんな点ですか?

 第1弾は手探り状態で、コッカの山根さんに非常に助けてもらいました。今回も引き続き助けていただいています。第2弾は、自分でこういうものが欲しい、作りたい製品から逆算して作っています。そういう理由であえてデザインが目立たない配色や、光に透かしたときにはっきり分かるのも作りました。また、作り手によって見え方が変わるような大柄なものを今回いくつか作ってみました。

今後の活動について
KF:今後やってみたいことはどんなことでしょう?

 ワイヤーに関しては、まだまだ出していない表現があるので作っていきたいこと。企業さんや他のクリエイターの方とコラボして、新たな作品や空間づくりをしようと思っています。ファブリックに関しては、インテリアファブリックとして製品を予定しています。

KF:最後に、コッカファブリックをご覧になっているみなさまへのメッセージをお願いします!

 今、コロナ渦でイベントなどができない状況ですが、SNSを通じて「+HAyU fabric」の作品を拝見できて、僕自身のモチベーションにもつながっています。前回に引き続きプレゼント企画も予定していますので、制作された作品の投稿を楽しみにしています。ご参加よろしくお願いします。


▲抽選販売会設置の様子。

KF:ありがとうございました!

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