Visit artist file 022アローナ・コーノラジ(bookhou)

ボタニカルワールドに魅せられて

アーティストのアローナ・コーノラジさんは、2002年にジョン・ブースさんとともに、二人が創り出す多様な分野の作品を紹介するスタジオとして「bookhou(ブックハウ)」を共同設立。それぞれの作品や共同プロジェクトを発信しています。2008年にはカナダのトロントに実店舗をオープン。アローナさんの創作活動のお話を交え、コッカと一緒に作った初めてのテキスタイルコレクション「Bloom by bookhou」についてスペシャルインタビューをお届けします。

Kokka-fabric (KF): bookhouではどのような活動をしているのですか?

bookhouは私と夫のジョン・ブース、二人のスタジオです。私は主に布を使ったアイテム、バッグやポーチといった布製品や一点もののアートやキルト、ホームプロダクツを制作。シルクスクリーンや木版印刷、パッチワーク、刺繍といったサーフェスデザインの技術を用いています。夫が作っているのは、主に木材を使った家具や彫刻作品です。自分たちの創作テクニックやプロジェクトを紹介した本も何冊か出版していて、それと連動したワークショップをトロントのスタジオや世界中で開催しています。





KF:アローナさんは多岐にわたる創作ジャンルで、今までに多くのデザインを生み出しています。デザインを考えるうえでインスピレーションになっているものは何でしょう?

インスピレーションの源は、葉や花、植物といったボタニカルな世界です。近所を散策中に見つけたもの、写真や絵など、常に植物に関心を寄せています。作品づくりはいつも手でスケッチすることから始めるので、不完全なものやイメージを繰り返すときに生まれるバリエーションが好きなのです。手から生み出されるものは、自然界に存在するオーガニックな形に似ています。パッチワークの構成を組んでいると、自然界と同じような組み合わせやバリエーションを見出したりするんです。




KF:ふだんの暮らしについて教えてください。

夫と子ども二人、家族と一緒に暮らしています。子どもたちはティーンエイジャー。トロントにある私たちのショップとスタジオの2階が住まいです。

毎日の暮らしは、まず1階に降りていって、出荷待ちのオーダーを準備することから始まります。そして作品づくり。印刷したり、縫ったり、仕上げをしたり。近所に住んでいる私の母が縫うのを手伝ってくれます。

その後は、試作品の制作やスペシャルプロジェクト、ソーシャルメディアのための撮影や動画収録など。1日の終わりに自由な時間ができたら、近所の公園を家族と一緒に散歩したりします。

KF:仕事場はどんなところなのですか?

大通りに面した古いビクトリア様式の路面店で、通りから見えるように私たちの製品をディスプレイしています。ここはお店でもあり、制作スタジオでもあるので、訪れたお客さまには、私たちがどんなふうに制作しているかが見えるようになっているんですよ。

お店の奥は、断裁や印刷、梱包などを行う場所で、製品のストックも置いています。私たちの生活スペースである2階には、より静かでプライベートな仕事に取り組めるもう1つのスタジオがあります。



KF:このたびコッカよりアローナさんの初めてのファブリックコレクション、“Bloom by bookhou”がリリースされました。このコレクションはどんなテーマで作られたのですか?

ガーデンを表現するさまざまな方法を見出したいと思いました。バラエティに富んだ花々や植物たちが見事に咲き乱れているような。イメージの異なるプリントが欲しかったので、いくつかはさまざまな要素を入れた複雑な柄に、別のプリントは連続模様といった具合に。コレクションそれぞれのピースは、同じような手法で描き、同じようなくすみカラーでまとめています。それぞれの布は別々に使われるかもしれませんが、パッチワークなどで組み合わせてもうまく調和するように考えました。

KF:“Bloom by bookhou”を制作するなかで、一番ワクワクしたのはどの工程ですか?

生地見本が手元に届いたときです。私のドローイングがどんなふうに布になっているんだろうかと。開封して、布ならではの素材感に触れたときは本当にドキドキしました。



KF:もっとも難しいと思ったのはどの段階でしょう?

リピートパターンを作る工程です。私が描くドローイングはほとんどの場合、イメージは1つ。小さなスケールでリビートデザインを考えることには慣れていたけれど、テキスタイルのような大きなスケールは新たな経験でした。

いかにもリピートしています、みたいにならないよう、自然なリピート柄になるように、さまざまな方法を習得する必要がありました。微調整したり、オリジナルのドローイングを変えてみたり。この部分はまさにスキルが求められたところです。



KF:“Bloom by bookhou”を使って作るとしたら、どんなアイテムがおすすめですか?

布が手元に届いてから、あれこれいろいろなアイテムを作って試しています。私はこの布の厚さがすごく好き。バッグやトートバッグといったアイテムにぴったりだと思いました。“Bloom by bookhou”は、パッチワークにも向いているんですよ。柄と柄を合わせたり、同じアイテムに違うパターンを持ってきたり。目下、キルトを制作中で、お洋服も作ってみようと思案中です。


KF:今後の抱負を教えてください。

“Bloom by bookhou”のようなコレクションやコラボレーションは続けていきたいです。また、大量生産するようなプロダクトよりも、アーティスティックな一点ものの作品制作にもっと時間を費やしていきたいと考えています。

KF:ありがとうございました!