手芸とは、よく「糸」編のあるもの―、すなわち、「縫う」や「編む」といわれていますが、刺繍もそのひとつ。その刺繍の世界で、最近、アートやデザインワークとしても見応えのある作品がふえてきたように思います。
写真は、刺繍作家の高嶺尚子さんの作品、「りぼんのいらないプレゼント」。
手のひらサイズの木製フレームに、玉ねぎや蝶、クレヨンなど、
日常の風景にころがっている、さりげないものたちが描かれています。
高嶺さんの作品は、刺繍糸だけでなく、絵の具も使って、色鮮やかな世界を表現。
線と面との絶妙なコラボレーションから、楽しい雰囲気が伝わってきます。
作品には、こんなメッセージがこめられています。
「子どものころから、大人になった今まで、ちょっとした贈り物をたくさんもらってきました。誕生日やクリスマスの特別なプレゼントではなくて、紙袋の入った玉ねぎや、少し砂のついた貝殻…。リボンのついていないプレゼントは、少しキラッとしていて、いつもやさしいのです。この絵を特別でない、いつもの中に、置いてもらえたらとてもうれしいです」(高嶺さん)
日常の風景を描いた刺繍が、作家の手を離れ、第三者の「日常の風景」に溶け込んだとき、その作品は、「アート」として第二の‘人生’を歩む・・・。
なーんて思ったり。
日常の空間を豊かに演出してくれるものが、アートなのかしら。
手芸やソーイングといえば、バッグやポーチといった実用小物や洋服がメイン。
でも、ときには、こんな空間を演出してくれる「アート」も作ってみたら、作品の世界が広がりそうですね。
高嶺尚子さんのサイトはこちら
http://www.pomponet.net/