今回ご紹介するのは、デンマークのデザイナー、リサ・グルーさん。2015年前半のコッカ展示会でデビューしたシリーズ、「スカンジナビアンダイアリー」は、スカンジナビアの森からインスピレーションを受けたというファンタジックな柄が印象的でした。持ち前のユーモアと個性豊かな発想、そしてそこに潜む女性的な表現……。その独特なアートワークが生まれる背景や制作スタイル、日々の暮らしについてお話を伺いました。
デンマークのロイヤルアカデミー オブ ファインアート、スクール オブ デザインで学びました。学部生のときはテキスタイルデザインを専攻し、修士に進んでからはヴィジュアル・コミュニケーションを学びました。最終的には、グラフィックデザインの修士号を取得したのですが、テキスタイルへの情熱は忘れたことはありません。グラフィックとテキスタイル。その2つのコンビネーションは、私にとってパーフェクトだったのです。
スカンジナビアの森が大好きです。なかでもデンマークの森はとてもロマンチックで、危険な動物にも遭遇しません。そこは私にとってとても不思議な場所で、森を散策していると、いつもたくさんのヴィジュアルアイデアが浮かんでくるのです。森の中で偶然、ラビットに出会ったというだけでも、私の頭の中にイメージが湧いてきて、ストーリーができ上がってくるんですよ。もしスウェーデンやノルウェイなど、ほかのスカンジナビアの森に行ったら、デンマークの森とはひと味違う、野趣あふれる自然を体感できることでしょう。森の雰囲気に触発されて、さまざまなヴィジュアルイメージが浮かぶ。 それはとてもワクワクすることですね。
典型的な私の一日はこんな感じです。朝、犬のマスターが6時半に私を起こしにくるので、一緒に散歩に出かけます。帰ってきたら朝食を作って、夫のデニスと息子のミカと一緒に朝ごはんです。そして、ミカを学校に送って行きます。彼はVidarスクールという、シュタイナー教育を実践している学校に通っているのですが、その学校は小さな森と大きな湖の近くにあるんです。ミカを学校にお送り届けると、私はマスターと一緒にその森をゆっくり散歩します。それから電車に乗って、コペンハーゲンの市街にある自分の仕事場に向かいます。夫も私と同じスタジオで働いているのですが、私が仕事場に到着すると、いつもカフェラテを淹れてくれるんですよ。
私のスタジオ(仕事場)は、コペンハーゲンの古いミート・パッキング地区(MPD)にあります。温かくてリラックスした雰囲気に包まれていて、とても気に入っているんです。他のデザイナーにスペースを貸していて、現在、デザイナーは7名。クリエイティブな人たちに囲まれて仕事ができるのがとても刺激になっています。
9時から12時まで、イラストレーションの仕事に取りかかります。12時になったら、ほかのデザイナーと一緒にランチを食べ、午後はまたほかのイラストレーションの仕事です。夕方4時になったら、私はミカを迎えに学校へ行き、一緒に家に戻ります。家に着いたらまずお茶を淹れて、ミカにはおやつを少し。ミカが友達と中庭で遊んでいる間にメールをチェックします。夕ご飯は6時半くらいから。家族一緒に食卓を囲みます。食事はいつもオーガニックフード。それは私たちにとって大切なことなんです。食事を終えたら、ミカに物語を読み聞かせながら寝かしつけます。ときどき息子が寝てからも少し仕事をすることもありますが、たいていは夫とおしゃべりしたり、一緒に映画を観たりして、11時か12時くらいには寝室へ。眠る前に新聞を何紙か目を通します。
ファンタジックなアニメーション映画「song of the Sea」を観たのですが、とても心惹かれました。
本では、『Fine Little Day』(Elisabeth Dunker著)。スカンジナビアのインテリアについてとてもポエティックに紹介されていました。
今度行ってみたいレストランは、コペンハーゲンのNomaです。
一言で言うのは難しいですが、人生すべてに興味を持つということでしょうか。好奇心というのは、人生のなかでいちばん重要なもの。好奇心があるからこそ、人はいつまでも若く、生き生きとしていられるのだと思います。
私のデザインした布、「スカンジナビアンダイアリー」が、みなさんの暮らしに喜びや不思議な力をもたらしてくれたら、これほどうれしいことはありません。最近、新作のデザインとして、大きめのポストカードと古いスカンジナビアのフォークロアパターンを仕上げたところです。今年中に日本でも発売されたらいいなと思っています。