visit artist file017 一栁綾乃さん(絵描き/デザイナー)

「纏う絵画」をテーマにテキスタイルを手がける

自然をモチーフにした絵画作品を制作し、絵画をベースにオリジナルのテキスタイルやファッションアイテムを展開している一栁綾乃さん。2019年6月にはコッカより初のシリーズ「yui」を発表。自然を題材に美しい作品を生み出す一栁さんにお話を伺いました。

Kokka-fabric.com (コッカファブリックドットコム以下KF):一栁さんは地元静岡の学校でグラフィックデザインを学ばれ、自然をモチーフにした絵画を多く制作されています。幼い頃から絵を描くのが好きだったのですか?

はい。幼少期から絵を描くのが好きで、現在までずっと描いています。小学生の頃から「絵で食べていく」ことを考えていましたが、高校後の進路を考えたときに「絵で食べていく」ことをリアルに想像できず、絵を描くことに近そうな仕事ということでグラフィックデザイン科のある地元の専門学校へ入学しました。

KF:将来の仕事を見据えて、進路を選ばれたのですね。

その結果、絵を描くこととデザインすることの両方ができるようになり、デザインの方面でも絵を描く方面でも仕事の幅が広がりました。
作家としては、専門学校卒業後 年に数回絵画展を開催しました。その後、ワークショップ、ライブペイント、他の作家さんやメーカーとのコラボレーション、染色など、様々な「絵」のジャンルに活動が広がり、現在に至っています。


▲2017年 11月 個展。一柳綾乃 絵画展「あること」 / te to te (尼崎)。空間のなかに絵画を展示。


▲「あること」 / te to te (尼崎)では、布の作品も。

KF:テキスタイルや雑貨などデザインを手がけるようになったきっかけは何だったのでしょう?

絵を描くことが私の基本なのですが、作品を発表し始めた頃は平面作品のみで活動していました。発表の場として絵画展を開催するなか、お客様から「この絵がストールだったらいいのに。」「この絵の柄のワンピースほしい。」などの声をたくさんいただくようになりました。

KF:実用品としての布の側面に注目したというわけですね。

ちょうどそのタイミングで京都へ移住することになり、染色の勉強をしようと思い立ったんです。移住して間もなく、伝統工芸を1年学んで最後に作品発表をするというアートプロジェクトに採択され、京都の職人の方々にご指導いただき、染色を学ぶ機会を得ました。そこから少しずつ、平面作品に加えて、「絵画を纏う」というテーマで布や服飾品を展開するようになりました。


▲伝統工芸を1年学んで最後に作品発表をするというアートプロジェクトでの「わざゼミ報告展2010 」。2011年5月、京都芸術センターの大広間にて。

KF:「絵画を纏う」。まさに一栁さんならではのテーマですね。デザインを考えるとき、インスピレーションの源となっているのは何なのでしょうか?

日々の暮らしの中できれいだなと感じる瞬間全てがインスピレーションになっています。特別なシーンではなく、日常のなかにそれを見つけるのが好きです。特に自然が好きなので、モチーフは自然を感じるものがほとんどですが。あとは音楽がとても好きなので、音楽からイメージを広げることもあります。


▲2017年4月Ayano Ichiyanagi solo exhibition「 日々をまとう 2017 -日傘とヘアバンド -」/ 雑貨と古道具 yamne (京都)では、日傘とヘアバンドのオーダー会を。日傘オーダー会は、この展示以降、毎年開催するようになった。


▲2019年4月の個展、日傘と雨傘のオーダー会 + 絵画展[日々をまとう 2019]/ エマギャラリー(静岡・藤枝)。

KF:日々の制作スタイルを教えてください。タイムスケジュールはどんな感じなのですか?

朝は7時頃起きます。朝食や家事を済ませて9時頃から仕事にとりかかります。昼食をはさみ、夕方5時くらいまで仕事をします。その後、買い物に出かけて、夕食。夜は自由に過ごすようにしていますが、作業の続きをすることも。だいたい深夜12時には休むようにしています。

KF :規則正しいですね。仕事は午前と午後では内容を分けています?

作業の順番はその時の仕事の状況によりますが、大体午前中にメールチェックとスケッチをして、そのあとに絵やデザインの仕事もしくは創作をしています。創作作業は仕事や作品発表の場等に合わせて進めるので常にはしていません。

イメージを頭でまとめるほうが時間がかかるので、創作の半分は頭の中で進みます。これは時問わず、常にしています。その代わり、鍛錬のため、毎日スケッチは欠かさず描くようにしています。絵を描くときは、自然光が良いので日中に作業を進めます。あと夜は眠たいというのもありますが…。作業場所は自宅の一室をアトリエにしているので、自宅で作業しています。


▲自宅の一室が仕事場。窓からは自然光がよく入る。



KF:2019年6月にコッカで発売となった「yui(ユイ)」 シリーズについてお尋ねします。このシリーズはどんな着想から生まれたのですか?

生まれ育った地で感じたきれいだなと思う瞬間をインスピレーションにしています。通常の作品も日常の中からインスピレーションを得ているので、yuiシリーズのため、というよりは、私の作品すべてに繋がる源です。


▲yui [some day]。いつの日か歩いた木々の下。柔らかな風と、溢れる光。聞こえるのは、木々の葉音と小鳥達の歌声。(インクジェットPT 60ローン 綿100%)


▲yui [momento]。波の音が聞こえる。水面できらきらと光る。光の粒が優しい記憶を呼び起こす。(インクジェットPT 60ローン 綿100%)

制作自体は楽しかったのですが、時間がタイトだったので 後で振り返って「短期間でよくこんなに描いたなぁ」と思いました(笑)。苦労したのは水玉柄。ベーシックなパターンなうえ、普段描いていないモチーフだったので、自分らしさを出すのに苦戦しました。

KF:この「yui」シリーズは、すべてインクジェットでプリントしています。この手法はどうやって決まったのですか?

インクジェットの方が私の色遣いやタッチを表現するのに向いている事と、グラフィックデザインを学んでいるのでデータの扱いに慣れている事。また 配色バリエーションではなく 全て柄違いで展開することになったためです。

KF:一栁さんご自身は、普通のプリントの良さとインクジェットの良さをどんなふうに感じていますか?

普通のプリントは表現の幅に魅力を感じます。色の重なりの風合いや、金や銀などの特色が使えたり…。インクジェットは、微妙な色合いやグラデーション、タッチなどを表現できるのが良いですね。私の場合 自分の表現(絵)を普通のプリントで再現するのが難しいので、インクジェットの性能が上がったのは嬉しいことでした。

KF:最近、気になっていることは何ですか?

多肉植物です。形がかわいいし、管理も割と楽なので、お部屋に増殖中です。

そして内装やインテリア。お部屋をどうしようかとあれこれ考えたり、関連の本を読むのが好きです。お部屋のリアルな改造は少しずつ楽しんでやっています。今はモビールが欲しいです。

あと器です。おいしそうな料理の盛りつけって難しいなと思っているのですが、器でかなり見え方が変わることに気づき、少しずつ良い器を集めたいなと思っているこの頃。最近は四角いお皿を探しています。

KF:今後の活動目標や挑戦してみたいことを教えてください。

「住む」「暮らす」「過ごす」空間に、関わって行けたら良いなと思っています。例えばカーテンや壁紙、ソファなどのインテリアファブリックなど。
あと、子どもが大好きなので、子ども向けの商品にも携われたら嬉しいです。会社員時代(専門学校卒後6年間)は教育玩具の企画デザインをしていました。本の装丁やCDジャケットなども いつかやれたらいいなと思っています。

KF:読者のみなさんにお伝えしたいことがありましたら、お願いします!

生まれたての “ yui “ 、たくさんの方に手に取っていただけたら嬉しいです。好きなように、思うままに、使っていただければ嬉しいです。

KF:ありがとうございました!

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