Visit artist file 021 トモタケさん(泥染め作家)

泥染めの世界観を表現した「MUDDY WORKS」

泥染めの布やオリジナルテキスタイルを使って、布ものの雑貨を中心に製作されているトモタケさんは、朝武雅裕さん、朝武広子さん夫婦二人のユニット。その優しい雰囲気をプリント生地にした「MUDDY WORKS」を2012年より展開しています。トモタケのお二人に泥染め作家としての活動や「MUDDY WORKS」についてお話を伺いました。


“泥んこ遊び”の延長に見つけた泥染めの世界
コッカファブリック(以下KF):泥染めとはどういうものなのでしょうか?

朝武雅裕さん(以下M):草木染の染色技法の一つです。予め植物性のタンニンを地染めした生地に泥を付着させると、タンニンが泥の中の鉄分と反応して黒く発色します。日本では奄美大島で作られている泥大島が有名です。トモタケでは保湿力の高い泥に鉄を混ぜて、ペースト状の泥を指で生地に塗り込んで柄を描き、乾燥した後熱を加え洗い流します。これは古来の泥染の技法を応用した染め方になります。

KF:指で泥を練り込んで柄を描くなんて独創的ですね。雅裕さんは学生時代、田んぼでのアート展で、大きな布に泥でペインティングするインスタレーションを行なっています。このときに泥染めの魅力を知ったそうですが、どんなところに魅力を感じたのですか?

M:小さい頃の泥んこ遊びの延長で、大きな布に泥を擦り付けたり、投げつけたりして、その後泥を洗い流したら、その痕跡がそのままの形で染まりついていました。絵筆で描くのとも違い、絵の具を紙に塗っていくのとも違う、その感触やアバウトさが心地よかったのだと思います。

KF: なるほど。泥んこ遊びの延長に思わぬ宝が潜んでいた・・・。その後、お仕事で酒屋さんの暖簾を泥染めで制作された際に、その染めた布で鞄やコースターを作ってみたそうですね。

M:制作する過程で普通の家の設備で量産ができるように色々と工夫を重ねました。色こそ単色ですが、濃淡を染め分けたり、型染を応用し始めたり、泥を刷り込んでいく際の微妙なムラなど、他の染色技法ではない表情が得られる事に気づきました。

朝武広子さん(以下H):私は暖簾の制作の頃から少しずつ制作の手伝いを始めたのですが、泥染の布と古い帯や着物の生地を接ぎ合わせているのを見て、泥染は鮮やかな色とも相性が良いなと思いました。
夫は暖簾のほかにもアート作品を作っていて、寝室に泥染めとカラーの生地をパッチワークした大きな作品があったのですが、長女の出産や授乳で寝室にいる時間が多かった時期に泥染の濃淡をぼーっと見ていると心が落ち着くことに気がついて。

ただ、当時住んでいたアパートには大きすぎるサイズだったので、何かもっと手に取りやすくて生活に取り入れやすいものに置き換えてみたら…と寝転びながら考えていました。それでコースターや鞄を作り始めたのですが、小さいサイズであれば家でも制作ができるし、コースターは技術的な染めの実験がしやすいので、毎年数枚ずつですが新しい柄が出来て、今では40種類ほどになりました。


染め分けや刺繍は相談しながら決める
KF: 作品づくりの役割分担は、染めは雅裕さん、刺繍は広子さん、デザインは二人で、ということですが、作品のモチーフやテーマはどのように決まっていくことが多いのですか?

M:動物クッションは、泥染の特徴(色や染め方)などを考慮しながら動物の種類を選んでいます。そのほかは、普段から気に留めていたものなどお互いにアイデアを出し合って、とりあえず描いてみて、その中から形になりそうなものを詰めていく感じです。

H:「ボール遊び」の柄は、息子がボール遊びをしている姿を夫がスケッチしていたのを見つけた時に、ボールをランダムなドットにして、その周りにボールと戯れる子どもたちが点在していたら可愛い布ができるかも…とイメージを膨らませていきました。

植物やおやつなどのモチーフは、どこをどのように染め分けて、どこを刺繍にするかなど、実験しながら相談して決めていきます。

KF:トモタケさんのプロフィールには作品づくりは「夫婦2人で制作」とありますが、インスタグラムなどを拝見すると、ほんとは「家族4人で制作」なんじゃないかと思うほど、娘さんや息子さんのお話が登場します。家族との日常は、作品づくりにどんなふうに影響していますか?

H:トモタケの活動を始めたのが、長女が生まれてすぐの頃だったので、当時はゆっくり本を読んだり、映画を観たり、旅行へ行ったりという非日常を楽しむ時間は取れませんでしたが、子育てをする中で、散歩中に見る草花だったり、子どもがチョークで描いた路地裏の落書きだったり、日々の生活の中に、美しい、面白い、と感じるものが沢山あることに気づかされました。

M:生活環境と制作環境が密接に関わっているので、子どもが生まれてからその成長とともに生活のリズムも変化して、自ずと目に留まるもの、影響を受けるものも変化しているように思います。

KF:上記の質問に関連しますが、作品づくりのインスピレーション(着想)はどんなところから湧いてくるのですか?

M:公園で子どもと遊んでいる時だったり、好きな画集や展覧会を見ていたり、とりあえず手を動かして描いている最中に別の形でアイデアを展開していったり、ひらめきのタイミングは様々です。

H:普段のおやつの時間や、お気に入りのお花屋さんで植物を買った時など気分が上がっている時、また、子どもたちの成長の節目節目の特別な出来事には心を動かされやすいので、記憶に残っていてモチーフのヒントになることが多いです。子どもの入学準備で大量の鉛筆や色鉛筆に名前を書きながら鉛筆の柄を思いついた事もあります。

観察すればするほど可愛いあんぱんが人気柄に
KF:人気柄「あんぱん」の誕生秘話を教えてください。

M:おやつをテーマにした展示会でクッキー、ドーナッツ、と共に制作しました。

H:どんなパン屋さんにも必ずあって、よくおやつに買っていたのですが、観察すればするほど存在が可愛くて、ゴマやケシの実でお化粧されているところも刺繍にぴったりだったので、泥染の作品はあまり試行錯誤せずにすぐに出来上がりました。
生地にする時は、パン屋さんのトレーに沢山並んでいる様子を表現できるように、正円ではなく一つ一つちょっとずつ違う形のあんパン型を作ってランダムに並べました。
あんパンのシルエットとケシとゴマのディティールだけなので、リアルすぎず、言われてみれば…くらいのシンプルさが受け入れられたのかなと思います。

KF:ここ数年、「ボール遊び」など、切り絵の作品も増えているような・・・。切り絵の作品について制作したきっかけや魅力などを教えてください。

M:泥染の型を作るのに切り絵の様にハサミで切って作るものがあり、そこからアイデアスケッチを切り絵で描いたりした事から始まりました。


▲切り絵作品オオデマリ。MUDDY WORKSの柄にもなった。


▲切り絵作品ブラックベリー


▲切り絵作品白詰草

H:以前は「MUDDY WORKS」のデザインをする時、染めた生地を原画としてスキャンしていたので、生地の目を拾ってテクスチャーがつきすぎてしまって、パソコン上で直していたのですが、ある日、型をスキャンすれば良いことに気がついて、それからわざわざ染めなくても良いんだ…ということで、切り絵で描いてもらうことにしました。

M:切り絵は鉛筆などで描くよりも不自由な分、手の癖が抜けて魅力的な形が描ける様な気がします。大まかなあたりをつけたりはしますが、なるべく下書きに添わずハサミで切り抜いていく事をこころがけています。

日々の制作について
KF: 2021年10月にはアトリエを引っ越されたそうですが、現在はどのような場所で、どんなふうに制作しているのですか?

M:住居部分とアトリエを同じ敷地内に各々別棟で建てました。アトリエ棟とリビングが外部デッキで繋がっています。雨の日や真冬の寒い日はアトリエに渡るのに気合いが入ります。


H:小さなアトリエですが、生活のスペースと分けた事で、仕事をする時と休む時間のメリハリがついたように思いますし、デッキに面した大きな窓からリビングの子どもの様子が見えるので、程よい距離感で安心して仕事ができています。

KF:雅裕さんと広子さん、お二人の感性の似ているところ、違うところを教えてください。

M:好みの音楽やドラマは違う事が多いです(笑)。

H:好みが違うことで、ジャンルが偏り過ぎないので、お互い客観的な目で判断できるという良さもあります。

M:一緒に物を作るにあたって、なるべく物真似にならない事、何処かで見た事のある様なものにならない事などの共通認識はしっかりと持っています。

KF:2006年からトモタケをスタートし、今年で16年目ですね。今までずっと続けてこられた作品づくりの原動力になっているものは何でしょう?

M:テーマや形式に捉われず、一つ一つの柄やアイデアを2人で丁寧に時間をかけて仕上げていく課程が大事だと思っています。時間をかけて一つのアイデアが形になった時の充実感と、又それを手に取ったお客様が喜んで頂けた時が何より嬉しいですし、原動力となっています。

H:元々小さい頃からものを作るのが好きだったので、作品づくりは苦ではなくて、好きな事をやらせていただいているという感覚なのですが、トモタケの作品を紹介してくださる色々な方々との出会いのお陰で、続けさせていただいています。自分たちが満足できるものが完成した時の喜びもそうですが、それを楽しみにしてくださっているお客様がいるというのが大きな原動力になっています。

KF:毎年、北は北海道から南は鹿児島、台湾と、数多くの作品展やイベントを行なっています。いろいろな場所に自ら出向いて在廊し、販売していくスタイルにはどんな醍醐味がありますか?

 
M:行く土地土地のお客様に直接お会いして、喜んでくださる姿を拝見する事はとても嬉しいですし、励みになります。また、お店のスタッフの方々とお話する事で、次の制作の参考になる事もあります。

H:遠方のお店にはなかなか普段お伺いできないので、イベントは遠方の素敵なお店にお伺いできる良い機会で、いつも楽しみです。また、お客様の生の声が聞けるというのはどんなものが求められているのか知る上でもとても勉強になります。

KF:それぞれの作品展にはそれぞれの思い出があるとは思いますが、とくに印象に残っているエピソードをお聞かせください。

M:コースターは、一枚を選ぶのにゆっくりと時間をかけて選んで下さるお客様が多い気がします。同じ柄でも染めムラの表情や配置など微妙な違いの中から気に入った一枚を見つけ出すプロセスがお客様それぞれで、どの方もそれがとても楽しそうで、見ているこちらもとても嬉しくありがたく思います。

H:長年動物クッションを愛用してくださっているお客様が、「こんな色になりました」とお写真を見せてくださる事もありますし、布博で初めてあんぱん柄の生地を販売した時にご購入頂いたお客様が、なんと次の日にはその生地をワンピースに仕立てて着て来て下さいました。

KF:コラボ商品として帽子や傘、洋服なども増えてきました。作り手側からみたコラボ商品の魅力ってどんなところでしょう?


▲イイダ傘店とのコラボレーション作品。


▲TEMBEAとのコラボレーション作品。

M:平面的な図案としての生地から、立体的な形を与えられた時にまた別の表情が表れて感動します。

H:それぞれの分野のスペシャリストとお仕事ができるので、自分達の手では作れないハイクオリティーなものに仕上げて頂けるというのはもちろんですし、ものづくりに対する思いや取り組み方に毎回背筋が伸びます。

2012年から「MUDDY WORKS」がスタート
KF:古い話で恐縮ですが、コッカが開催している次世代のテキスタイルデザイナーを発掘する公募展、「Inspiration」。2005年の第1回で、朝武雅裕さんは佳作に入選していますね。応募したきっかけやこのときの作品について教えてもらえますか?

M:審査員の中にセキユリヲさんや藤本やすしさんのお名前を見て、憧れのクリエイターの方々に作品を見て貰えると思い、泥染や布のコラージュ(パッチワーク)を用いた作品を制作して、締め切りの最終日に滑り込みで送りました。この時はまだ自分の作った作品をどの様に展開していくか模索していた時期で、プリントへの応用は殆ど想定していない作品でした(笑)が、審査員のセキユリヲさんに引き上げて頂き、その後当時のセキさんの事務所に併設されたギャラリーで個展の機会も頂きました。


▲2005年のInspiration展で佳作となった作品

KF:2012年からスタートした「MUDDY WORKS」。このシリーズを出すきっかけは何だったのですか?

H:アパレルプランドに生地の図案を提供した際に、その生地を作っていたのがKOKKAさんで、それがテキスタイル部の方の目にとまったようで、KOKKAの担当者の方からお話を頂きました。

KF:「MUDDY WORKS」は、「トモタケが泥染めや刺繍で描いた図案をもとにプリント生地を作る」というコンセプトですが、これはどのように決まったのですか?

H:初めは泥染めの色や風合いをそのままプリントにしたいというお話をいただいていたのですが、泥染め「風」の生地を作るのは何か違う気がして、泥染めや刺繍の図案をもとにして、プリントの良さを生かした色彩豊かな生地を作りたいというご提案をさせていただきました。

M:泥染めは、ベースのベージュとチャコールグレーの濃淡のみので、色は刺繍によってさし色を加えている程度でしたので、それをプリントによって自由な色彩で表現できると思いとても興味深く思いました。

KF:量産できて配色バリエーションも可能、価格もリーズナブルな「MUDDY WORKS」を出すことで、トモタケの泥染めプロダクツが売れなくなってしまう、という懸念はなかったのですか?

M:トモタケの泥染めでプリント生地のような大きな面積を染めようとする事はなかなか難しいですし、同じ生地の媒体でも、プリントのカラフルな生地と泥染め+手刺繍の生地とでは表情が全く違うものですから、そこに懸念はありませんでした。むしろそれにより、トモタケの泥染めをより多くの方に知っていただけると考えました。

KF:2012年の第1弾、初めてでき上がった生地をご覧になったときの印象をお聞かせください。

H:全てが初めてで、ファーストサンプルがイメージと全く違ったので愕然としました。何とかお願いして型を彫り直して頂いたり、色のイメージも、経験の薄さから何かしっくり来なくて何度もやり直して頂いたりと、とにかく関係者の方にご迷惑をおかけしたので、最後に満足できるものが完成して、担当者の方や染工場の方に辛抱強くお付き合い頂いたことに感謝しかありませんでした。


▲「MUDDY WORKS」第1弾の布、タンポポ


▲「MUDDY WORKS」第1弾の布、daisy lace


▲「MUDDY WORKS」第1弾の布、ドーナッツ


▲「MUDDY WORKS」第1弾の布、すぐり

「MUDDY WORKS」としての布づくり、楽しい点、面白い点はどんなところですか?

M:生地として広い面積でどう見えるか、またそれが何某かの形になった時どう見えるか、部分と全体、素材選びなど、色々と考えを廻らせる事が面白いです。

H:手仕事ではなかなかできない柄が作れたり、泥染とはまた違った鮮やかな色が使えたりするところと、その生地を使ってどんなものを作ったら可愛いか考えるのも楽しいです。

KF:反対に悩ましい部分、苦労した点はどんなところですか?

H:プリントの技術的な事がわかっていなくて、苦労したというか、担当者の方や染工場の方に度々ご迷惑をおかけしました。一度版を作ってしまうとやり直しが効かなかったり、製版の仕方で配色のバリエーションや生地の種類が限られてしまったりするのを一つ一つ経験しながらなんとなく理解していった感じです。
色を指定する時も、プリンターで紙に印刷したものを提出しても、生地にすると全く違った印象になったりするので、生地にアクリル絵の具を塗ったチップを提出したりしていました。染工場の方が、こんな色指定の仕方は朝武さんくらいだと仰っていたそうです。


▲アクリル絵の具を塗ったチップ

M:最終的に色決めはやはりいつも悩みます。時間も迫ってくる中、何度もサンプルのやり直しをお願いしていつも申し訳なく思っています。

KF:「MUDDY WORKS」がトモタケのものづくりともっとも違うのはどんな点ですか?

M:泥染めの作品は私達が直接触れて制作した物をお届けする、という事でしょうか。作家性のあるものか工業生産品かという事の違いですが、どちらもそれが仕上がっていく過程でのデザイン上のプロセスは、あまり違いは無いように思います。

H:良いものを作りたいという思いや、取り組み方は変わりません。ただ泥染めの作品は基本的にオーダーをいただいてからお作りするので、在庫を抱えることはありませんが、MUDDY WORKSは量産されるので、作っていただいたものを余らせてはいけないという責任を感じながらデザインしています。

KF:毎年、新柄のデザインは、どんなふうに決まっていくのですか?

M:KOKKAの担当者の方々にソーイング業界の傾向やご要望をおききしながら、生地の種類、抽象柄、花柄、服地、インテリア向けなど、一回のシーズンの中でバリエーションを持たせる様にモチーフ選びも工夫しています。

H:基本的には自由にデザインさせていただけるので、ありがたいです。

KF:デザインを考えるときは、どんなふうに使ってほしいかなどのイメージはあるのですか?

M:最初の頃はあまり考えていなかったような気がします。「あんぱん」は2年目の柄ですが、泥染のコースターで使っていた型の大きさのままです。あれこれ考えるより消費者の方にはそれがむしろ新鮮だったのかもしれません。

H:回を重ねて少しずつイメージできるようになって、今回は担当者の方に新作生地を使った作品サンプルの制作をお願いする際、色々とイメージをお伝えして、それに近い形で仕上げていただきました。

KF:「MUDDY WORKS」の生地を使って洋服や小物を作っている人も多数いらっしゃいます。SNSなどにアップされる作例を見て、驚いた点、嬉しかった点などあったら教えてください。

M:皆さん本当に器用に色々なものを作っていらっしゃるので、すごいなあと思いながら拝見しています。特に、作った方の暮らしが垣間見えるような作品にぐっときます。

H:お母さんが作ったワンピースを着ているお子様の写真と、そのお子さんがお礼に描いた絵がアップされていたのですが、生地の柄がちゃんと描かれていて泣きそうになりました。私も子どもの頃母が作ってくれた服は今でも覚えていますし、誰かのために、あるいは自分のために作る特別なお洋服や小物に「MUDDY WORKS」の生地を選んでくださるというのは本当に嬉しく光栄なことです。

KF:2021年、「MUDDY WORKS」の10周年を記念して、復刻リニューアルした柄が発売となりました。この復刻する柄はどのように選んでいったのですか?

H:「木々」は、お客様からのリクエストが多かった柄です。お子様のエプロンやお洋服にしている方が多かったので、素材を柔らかいダブルガーゼにしてモチーフの大きさも小さめにリニューアルしてみました。

「petals」は、Instagramでお客様が作った作品を拝見して、大人用のロングコートのようなものを作られていたのがとても素敵で印象に残っていて、お子様用のお洋服や小物もとにかく可愛く仕上がっていたので、幅広い年齢の方にお使いいただける柄として選びました。

「check & border」は、チェック部分とボーダー部分を工夫して組み合わせながら楽しんでお使い頂いていた印象で、ソーイングが得意でない方でも、ただ広げるだけテーブルクロスにもぴったりの柄なので、シンプルな柄でありながらも色々な楽しみ方ができる柄として選びました。

KF:2022年は、綿モーリー、ダブルガーゼに続いて、9.5号帆布の布も出ましたね。デザインする側として、生地の種類と柄はどのくらい意識していますか?

M:生地の種類や性質によって作る物も必然的に変わっていくので、それに合わせて展開するモチーフの大きさも変えています。

H:肌触りが良いダブルガーゼは、小さいお子さんのアイテムをつくることを想定してモチーフを小さめに、今回の9.5号帆布は、厚手で目が詰まっていて、大きいサイズの鞄でも自立するということで、生地の存在感に合わせて大きなあんぱんを密に並べてみました。

色々な表現方法で作品づくりをしていきたい
KF:アーティストによっては、手仕事の作品づくりをやめて、量産できるプロダクト生産・販売にシフトする人もいます。でも、トモタケさんは、マスプロダクションの「MUDDY WORKS」と小規模のトモタケを両立させていらっしゃる。そのあたりはどのようにお考えですか?

M:自分たちの場合、手仕事の作品作りは筋トレのようなものなので、実験的な意味でも手を動かすことは常にしていたいと思っています。

H:手仕事だけやっていても、作業効率ばかり考えてつまらないものになっていくかもしれないし、「MUDDY WORKS」で量産ができるから少し手の混んだ作品を作ってみようというチャレンジもできるので、相乗効果になっているように思います。製造元のKOKKAさんが私たちのものづくりのスタンスを理解してくださっている事も大きいと思います。

KF:今後、やってみたいことはどんなことでしょう?

M : ここ最近は、親しくさせて頂いているお店の方と陶磁器のオブジェを制作しています。切り絵もそうですが、テキスタイルに限らず、機会があれば色々な表現方法で作品づくりをしていきたいです。


▲陶磁器のオブジェ

H:これまでは、制作に追われて、ものを作るところまでで手一杯だったので、それをどんな風に生活の中に取り入れていくのかをご提案できるようになりたいです。あとは、絵本の挿絵などもやってみたいです。

KF:最後に、コッカファブリックをご覧になっているみなさまへのメッセージをお願いします!

M&H:いつも“MUDDY WORKS”の生地をご利用いただきありがとうございます。これからも小さなチャレンジを一つ一つ積み重ね、長く皆様に愛されるテキスタイルを作って行きたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

KF:ありがとうございました!