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森香菜さん(cocca クリエイティブディレクター)

coccaが求めているもの、つながりたい世界とは?

東京・代官山にあるcocca(コッカ)は、ファブリックメーカーであるコッカ(KOKKA)が、プロデュースしているショップです。今回、お話を伺った森香菜さんは、coccaのクリエイティブディレクター。2006年にショップをオープンした当時から、ずっとcoccaを率いてきました。第3回 コッカプリントテキスタイル賞『inspiration』では、審査員もつとめています。

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(コッカファブリックドットコム 以下、KF)森さんがcoccaに携わるきっかけは何だったのでしょうか?

高校を卒業して、しばらくフランスに滞在していました。その後、日本に戻り、雑誌の編集やライターの仕事をしていたんです。もっとモノに関わる仕事がしたいなあと思い始めていた頃に、ちょうどcoccaがオープンすることを知り、こちらで働くことになったんです。今までの経験から、最初はプレスのような仕事をしていました。

(KF)ズバリ、coccaってどんなところなんでしょう?

ファブリックブランドを扱いながらも、衣食住全般のライフスタイルを提案しているショップです。coccaのサイトにも書いているのですが、’東京発’ということを打ち出しています。東京は、いろいろなものが集まるところ。だから、ここから発信することに意味があるー。’東京発’というのは、日本発という意味も含んでいて、日本のアーティストたちのテキスタイルを紹介していきたい、という思いがあります。たとえば、マリメッコはフィンランドの、リバティはイギリスの歴史や文化が背景となって生まれています。それと同じように、日本には、日本に合ったもの、根づいたものがある、と思うんです。畳の暮らしに合うような、日本人の生活にしっくりくるものがあるのではないかと。

(KF)年間を通じて、企画展やイベントを開催していますが、それも日本の職人さんやアーティストにスポットをあてたものが多いですよね。

はい、そのあたりは意識しています。昨年は6周年ということで、「cocca6」(コッカシックス)という、日本の技術を駆使して展開するテキスタイルプロジェクトを立ち上げました。1年がかりで、日本の6つ地域といっしょにものつくりをしたんです。京都のマーブルプリント、奄美大島の泥染め、今治のゴブラン織り、長崎くんちの手ぬぐい、八王子の草木染めプリント、そして富士吉田のジャガードです。

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(KF)すごい、全国区。それぞれにドラマがありそうですね。

遠くはなれた場所でのものつくりは、困難もありましたが、学ぶこともたくさんありました。たとえば長崎。長崎くんち(注:長崎の氏神「諏訪神社」の秋季大祭)の手ぬぐいは、注染といって、日本に昔から伝わる染織技術で作られています。それは、防染糊をおいた布に染料を注ぎ、生地の下から空気の圧で吸引して染料をしみこませる染色方法で、生地の目をつぶさないので吸水性も肌ざわりもよく、裏も表もない美しい染め上がりになります。注染の工場は時代と共に少なくなり、今では全国に数えるほどしかありません。長崎では、注染は、長崎くんちと共に発展し、今もなお長崎の文化と共に存在する唯一の手業。私たちは、そのことに感銘を受け、長崎のくんちに敬意を表し、各方面で活躍するクリエイター達に呼びかけ、手ぬぐいを作ることになったんです。

(KF)日本に古くから伝わる伝統技術と、現代のクリエーションとの融合。それがまさしく、coccaのめざすものといえそうですね。

図案作家の有田昌史さん、koumoriyaさん、デザイナーのto-kichiさん、tomotakeさんが、このプロジェクトの趣旨に賛同してくださいました。長崎くんちの手ぬぐいには、龍のモチーフが多く登場するので、それぞれ、思い思いの龍を描いていただきました。

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(KF)こちらのサイトでも紹介した、昭和の復刻シリーズも、昭和の柄をリデザインして、現代によみがえらせていますよね。

昭和の復刻シリーズは、約50 年前の図案家達によって生まれた柄をリデザインし、現代のライフスタイルに合う配色を施したものです。じつは、大阪のコッカの本社の地下1階には、昔の図案家さんたちが描いた図案が、たくさん眠っているんです。昭和の時代の布がもつ、遊び心のある柄行きや、はっとする色使いに魅せられ、現代に復刻しました。

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(KF)coccaにとって、布ってどんな存在なんでしょう?

コッカ(kokka)の布は、主に手作りをする方のためのカット売りがメイン。でも、coccaは、布そのもの、テキスタイル自体が実験的なんです。「技術があるから、布を作ろう。コンセプトがあるから、手法を探す」といった具合に。要は布の可能性を引き出すことでしょうか。

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(KF)どうもありがとうございました。

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