コロナ禍でどう変わった?おうち時間のものづくり コッカファブリック「2020クリエイター座談会」レポート part2

コッカの布で作るソーイングレシピを紹介する「craft & sewing」は、コッカファブリックの人気コーナー。このコーナーをコッカと一緒に盛り上げてくれているのが、作品のデザインと制作を担うクリエイターの方々です。

「作り手さんの本音をもっと聞きたい!」と、昨年から始めた「クリエイター座談会」。第2回目の座談会は、コロナ禍の密を避けるため、2名ずつ、午前と午後の2回にわけて行いました。午前の部は、田巻由衣さん武井聡美さん、午後の部は、猪俣友紀さん杉野未央子さんをお迎えしました。part2では、午後の部の座談会の様子をお届けします。


▲杉野未央子さん(左)と猪俣友紀さん(右)

求められるままにマスクづくりの日々

コッカファブリック(以下、KF):猪俣さんはコロナ禍の中、需要に応える形でたくさんのマスクを作られて、マスクの作り方本の監修もなさいました。

猪俣友紀さん(以下、敬称略):マスクが欲しい、作りたいという需要にやっぱり応えたいなと思ったんです。SNSで紹介すると、ポケットつきはないんですか?、ワイヤーは入らないんですか? ひもを調節するには? 大きいサイズがほしい、小さいサイズがほしいと、次から次へとくる質問に応えていましたね。プリーツマスクを作ったときは、どっちが表か?と海外の人から質問がきたり。本当に反響がすごかったです。

KF:コッカファブリックでもechinoの生地でプリーツマスクを作っていただき、ありがとうございます。


▲猪俣さん作。echinoの生地で作った「型紙いらずのプリーツマスク」。下線部をクリックすると作り方レシピがご覧いただけます。

猪俣:echinoのジャカード織りは、マスクにはちょうどいい薄さでした。プリーツにできるかな?と試してみたらできたんです。

KF:そうだったんですね。

猪俣:今までずっと残していた布棚の布が、マスクに使えそうな布ばかりに見えてきました。私のメインの作品はバッグなので、よく使うのは厚手の生地。薄手の生地は普段は内布になるのですが、マスクを作ることでメインに使ってあげることができたのは、ちょっと嬉しかったですね。

KF:echinoの生地でもマスクが作れるんだ、と、私たちも新鮮でした。

猪俣:マスクづくりでは、ミシンをかけて、動画を撮って、パソコンで編集と、慣れなかったことを頑張りました。マスクがひと段落したと思ったら、次はエコバッグ。コロナになってからは掲載の作品づくりがメインで、自分の作品制作はほとんどしていません。

KF:杉野さんはどんなふうに過ごされていましたか?

杉野未央子さん(以下、敬称略):私はむしろ、ゆったりした時間ができたので、自分のものを作っていました。レッスンもお休みになったり、いただいていた依頼もいったんストップになったりして、その分ちょっと時間ができて、洋服を作ってみたり。


▲杉野さんが作った洋服。生地はegg pressのもの。下線部をクリックするとegg pressのインタビューがご覧いただけます。


▲こちらも同じく杉野さんが作った洋服。

KF:普段、小物の制作が多い杉野さんが洋服づくりですか! 作ってみていかがでした?

杉野:洋服はどこまで縫っても生地がありますね(笑)。スペースが広くないと裁断すらできないし、糸もあっという間になくなるし。下糸を何度取り替えたらいいんでしょう、というのがありましたけれど、できあがって立体になったときの喜びが大きいですね。

コロナ禍での生地の調達は?

KF:コロナ禍のなか、新しい生地を足したり、買いに行ったりなどは、どのようにされていたのですか?

猪俣:生地は買っていなかったですね。作品をご依頼いただいても生地が手に入らない状況だったので、家にあるものを使うように工夫していました。布を増やさない、いいタイミングでもあったかなと思います。

杉野:洋服を作るための布はネットで買っていました。私はどんな生地も1m以下で買うことが多いので、洋服を作ろうと思ったら、どの生地も使い物にならないことがわかって・・・。まだ洋服に仕立てていない生地もあり、余裕ができたらこれから作ろうと思っているのですが、その生地も、じわじわと小物づくりに使い始めてしまっています(笑)。


▲杉野さん作。MUDDY WORKのあんぱん柄で作った「サイドポケットのトートバッグ」。下線部をクリックすると作り方レシピがご覧いただけます。

KF:作りたいものを決めてから生地を探しに行かれるのか、生地を買ってから、何を作るか決めるのですか?

猪俣:生地を見て、作品が浮かんできたら買う、という感じです。

杉野:私は作るものが小さいので、いい生地があったら買っておきます。基本、布合わせがメインで作っているので、家にある生地と合わせて、どこまで合わせられるかが勝負みたいな感じです。だから、作るものを決めてから買いに行くことは少ないです。洋服や大きさが決まっているバッグを作るときは、ある程度、決めてから買いにいきますけど。基本的にはビビッと来たものを買います。

コッカの生地はどんなイメージ?

KF:お二人には、コッカの生地で多くの作品を作っていただいていますが、実際に使ってみて、どのような印象を持たれましたか?

猪俣:最初にお仕事をいただいたときのコッカさんのイメージって、色がはっきりしていて、柄が大きい。たとえば、鳥の柄をバッグのこの位置に使おうって思っていても、実際に生地が届くと、柄がとても大きくて、どうしよう? ということもありました。

杉野:洋服用の薄手の生地があるのですが、その柄と同じ大きさで、オックスなどの厚手のものがあったら嬉しいなって思います。芯を貼ったら薄い生地でも使えるのですが、レッスンのときには、芯を貼るひと手間があると時間オーバーになってしまうので。芯の貼り方がうまくいかないっていうお声も聞くし。だったら最初から厚手だったらいいのに、っていうのはよく感じます。

KF:ユーザーさんへアンケートを取ったときに、「コッカの布はおしゃれです」とおっしゃってくださる意見も多かったのですが、コッカといえば、どんなイメージをお持ちですか?

猪俣:柄展開が幅広いなって思います。メーカーさんによっては、たとえば、ふわっとした花柄のイメージが強いところもありますが、コッカさんの生地って、年齢層が幅広いです。キッズ柄も豊富だし、ママが好きそうだなぁと思います。洋服の生地も幅広いですよね。HAyUさんの刺繍柄生地もすごく好きです。作品に仕立てたこともあります。


▲猪俣さん作。https://yunyuns.exblog.jp/31060502/

ちょうどよい厚さの9.5号帆布

KF:バッグづくりには、帆布もよくお使いになると思いますが、このたび、コッカで新しく帆布を出しました。8号と11号の間で、9.5号帆布というものです。



9.5帆布で作ったバッグ。
*こちらの布はオンラインショップで販売中です。(2020.10現在) 
 下線部をクリックするとオンラインショップページがご覧いただけます。

猪俣:9.5号っていいですよねー。8号だと厚すぎることもあって。

KF:接着芯が要らない、ちょうどいい厚さです。生成りのほか、何色かあります。


▲9.5号帆布のカラーバリエーション。

猪俣:そうなんですか! 

KF:8号だと厚すぎるし、11号だとちょっと薄い。9.5号はそんな声から生まれたものなんですよね。

猪俣:9.5号帆布、すごい絶妙ですよね。こんなにしっかりしているなんて。それこそ、鹿の柄であったら、可愛い。バッグ作家としてはとても興味深いです。echinoの9.5号帆布があったらすごくいいですよ。それにカラーの帆布を合わせたらすごくよさそう。


▲9.5号帆布で作ったバッグをチェックする杉野さんと猪俣さん。

KF:9.5号帆布、持ってきてよかったです。ニーズがありそうだということがわかりました。あとはどうやって伝えるか、ですね。

猪俣:どのくらい自立するかを伝えると、それだけで雰囲気がだいぶ伝わると思います。あと8号帆布と比較するとか。1枚でバッグができたら軽くていいですね。

KF:帆布でも手縫いできるんですか?

杉野:ちょっと難しいかと。11号でもみなさん手が痛いっておっしゃるので。レッスンで何回かやったのですけど。手縫いだとオックスが限界ですね。

リアルプリントも目が離せない

KF:コッカではリアルプリントも結構出しています。こちらは古いパッチワークの作品を写真に撮り、プリントに起こしたものです。



“double wedding” キルティング風リアルプリント シーチング – 花とギター  
*こちらの布はオンラインショップで販売中です。(2020.10現在) 
 下線部をクリックするとオンラインショップページがご覧いただけます。

猪俣:キルトはできないけれど、こういう生地が欲しいなっていう人もいるので、すごくいいと思います。コッカさんってこういうのがいいですよね。パン屋さんの生地とか、面白いもの。あと木目調とか、リアルなものをよく見かけます。

KF:リアルプリントといえば、こんな布もあるんです。ドアのプリントです。


▲ホームデコシリーズ『HOME DECO -Antique door-』。ドアのバリエーションは、コッカファブリックのインスタグラムでご覧いただけます。

猪俣:イベントとかやるときの背景に絶対かわいいと思う。お部屋のパーテーションみたいにもできますよね。

KF:おうちのリモート会議の背景にもおすすめなんです。これからもみなさんに喜んでいただけるような生地を提案していきたいと思います。

クリエイターの田巻由衣さん、武井聡美さんをお迎えした「クリエイター座談会」part1も合わせてご覧ください。